2022/12/28 不妊・病気のリスクが減る?!腸内フローラを整えるために覚えておきたい基礎知識

近年よく耳にする『腸内フローラ』というキーワード。腸内フローラを整えると全身の健康につながる、妊娠の確率が上がる、太りにくくなる、便秘・下痢になりにくい、病気や感染症の予防など、整えることでカラダの中から元気になれる腸内フローラに注目が集まっています。

女性の健康を左右する腸内フローラを整えるためには具体的にどうすればいいのか。基礎知識とともに身体に与える影響をお伝えしていきます。

 

腸内フローラとは?「3種の常在菌」理想バランスと役割

腸内フローラとは、腸内に棲んでいる細菌のこと。正式名称は「腸内細菌叢(ちょうないさいきんそう)と呼ばれ、細菌の種類ごとにお花畑(フローラ)のように腸の壁に張り付いていることから、「腸内フローラ」の名称で広く認知されています。

その数およそ1,000種類。数にして100〜1,000兆、重さにすると約1〜2kgといわれており、「善玉菌」「悪玉菌」「日和見菌」3種の常在菌がバランスよく働くことで腸内環境を整えています。これがいわゆる「腸活」であり、生活習慣病や病気・感染症などから身体を守ってくれるのです。

 


【善玉菌】

理想バランスは全体の20%。ビフィズス菌や乳酸菌をはじめとする身体に良い影響をもたらす常在菌です。悪玉菌の増殖を抑えるほか、病気や感染症の予防、腸運動の活発化など身体の調子を整えてくれます。

【悪玉菌】

理想バランスは全体の10%。身体に有害とされる常在菌で、悪玉菌の割合が増えると糖尿病や大腸がん、動脈硬化、肥満など病気や食中毒の原因につながる可能性も。不規則な生活習慣やたんぱく質・脂質が多い食事、心身のストレスによって増えてしまいます。

【日和見菌】

理想バランスは全体の70%。善玉菌・悪玉菌のどちらにも属さない常在菌で、腸内細菌のバランスが良い状態であれば善玉菌を助ける働きがあります。ただし、悪玉菌の数が優位になると、そちらをサポートして身体に悪い影響を与えてしまいます。

腸内フローラを整える方法4つ

善玉菌・悪玉菌・日和見菌の理想バランスを整えるためには、毎日の食事と心・身体からのアプローチが必要です。日常で取り入れられる方法をまとめてみました。

 

1.善玉菌を含むプロバイオティクスを摂取

ヨーグルトや納豆、乳酸菌飲料、キムチ、味噌といった発酵食品は、生きた善玉菌が含まれるプロバイオティクスと呼ばれる食品。毎日の食事で継続的に摂取することで、善玉菌を増やす働きが期待できます。

2.善玉菌のエサになるプレバイオティクスを摂取

腸内に存在する善玉菌の数を増やすなら、エサとなる食物繊維やオリゴ糖を含むプレバイオティクスと呼ばれる食品を毎日の食卓に摂り入れると◎。野菜や豆類、いも類、海藻類、フルーツなどに含まれ、消化・吸収されることなく大腸まで運ばれます。

3.睡眠環境を整えて身体を休める

脳と腸がお互いに影響を与える「腸内相関(ちょうないそうかん)」という概念から分かる通り、「自律神経を整える=腸内フローラを整える」につながります。その中でもすぐに実践できるのが睡眠の改善。リラックスした状態での快眠は、疲れの回復やストレス解消にもなり、結果として腸内環境に良い影響を与えてくれます。

4.運動やマッサージで身体を動かす

全身を動かす運動や腸内マッサージは、腸の蠕動運動(ぜんどううんどう)を促し、腸の動きを活発にしてくれます。激しい運動である必要はなく、ウォーキングやストレッチでOK。おなか周りを刺激する動きを取り入れると効果的といわれています。

腸内環境は「便」でセルフチェック!

腸内フローラが整っているかどうかは、毎日排泄される「便」の状態からある程度の予測ができます。自分の腸内環境が整っているかどうか、セルフチェックでも確認してみましょう。

●ソーセージやバナナのような便の形
●表面がなめらかで便が硬くない
●便のニオイが強くない
●便の色は黄土色〜明るめの茶色
●週に3回以上のお通じがある
●力まなくてもスルッと便が出る

小さくコロコロとした便や水分が少ないヒビ割れ状態の便、水のような液体状や黒っぽい便は、腸内がアルカリ性になり腸内フローラが乱れているサインです。このような場合は病気が隠れている可能性もあるので、様子がおかしいと思ったら早い段階で病院に足を運ぶ方がいいかもしれません。

 

妊娠を望むなら膣内フローラ・子宮内フローラにも注目!

最近の研究や発表では、「子宮内フローラ」や「膣内フローラ」が妊娠の確率を左右するとも言われており、さらに注目を集めています。

基本的な考え方は腸内フローラと同じですが、子宮内フローラと膣内フローラに存在する常在菌のほとんどは善玉菌。子宮や膣で活動している善玉菌の割合が90%を越えた状態を維持すると「妊娠しやすい」「妊娠後の継続確率が上がる」といったメリットがあるとされています。

偏った食生活や心身のストレス、睡眠不足といった女性ホルモンの分泌が下がるようなライフスタイルは、子宮内フローラと膣内フローラが乱れる原因に。妊娠の確率を下げるだけでなく、婦人科系の病気を招く恐れもあるかも。

女性の健康に大きく関係する腸内フローラ・子宮内フローラ・膣内フローラ。 理想的なバランスを整える方法も乱れる原因も「同じ」です。不妊や病気のリスクを減らし、健康な心と身体を目指すという意味でも、ぜひ善玉菌を増やすハッピーなライフスタイルを意識してみてくださいね。