2023/05/15 出産前と何が違う?生理不順や不正出血、産後に変化する月経を知ろう

妊娠から出産と長い期間にストップする生理(月経)。生理の再開時期はもちろん、不正出血や生理痛などの症状が出ると心配になる方も多いのではないでしょうか。 今回は、産前産後での生理の違いや、おかしいと思ったときにできるセルフチェックの方法をご紹介します。

 

産後の生理は妊娠前と何が違う?

出産後の生理について、妊娠する前と「変わった」と感じるのは特に珍しいことではありません。妊娠をしていない健康な身体であれば、卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)の分泌により約4週間に一度の間隔で生理がきますが、妊娠すると生理はストップします。順調にいけば出産が終わった後に生理が再開する……という流れが一般的です。
とはいえ、産後の生理は個人差があり、妊娠前とは違うさまざまな症状や変化が見られます。

・生理が再開しない
・月経量が増えた(減った)
・出産前より生理痛がひどい
・生理不順になった

上記は産後の生理についてよくあるケースです。
心配しなくていいのか、注意したほうがいいのか。正しい情報を集め「知る」ことで自分がどうするべきか判断できるようになります。

産後の生理は妊娠前と違うのは当たり前。「おかしい」と思ったときに行動するための知識を持つことが大切です。

 

これって大丈夫?産後の生理で覚えておきたいこと

産後の身体は、交通事故にあった!といわれるほど大きなダメージを受けた状態。6〜8週間の産褥期を経て回復しますが、妊娠前の状態に戻るには約3ヶ月〜1年という長い期間が必要です。
ここでは、元に戻るまでの間で起こる生理の心配事について解説していきます。

 

■生理が再開しない

産後に生理が再開しない理由のひとつとして、授乳があります。
赤ちゃんが母乳を吸うときの刺激で分泌されるプロラクチンと呼ばれるホルモンが出ている影響で生理の再開が遅れる場合があります。さらに産後の身体を回復させる、赤ちゃんに栄養を与える、こうした背景からも生理の再開が遅れることに関係していると考えられます。
個人差があるため一概には言えませんが、母乳を与えている場合は卒乳してから3〜6ヶ月くらいでホルモンバランスが正常に戻り、再び生理が始まるというケースがひとつの傾向としてあるようです。

■以前よりも月経量が増えた(減った)

産後の生理が復活したものの以前と月経量が違うのはよくあります。ホルモンバランスの変化や乱れが原因で月経量が変わるため、体調に問題がなければ少し様子をみてください。
ただし「月経量がかなり多い」「貧血などの症状が出た」という場合は産院や婦人科を受診しておくと安心です。

■出産前より生理痛がひどい

出産前より生理痛がひどいと感じる理由には、いくつかの原因が重なりあっている可能性があります。まず、妊娠・出産によるホルモンバランスの変化。ここに産後のダメージや授乳など疲労・寝不足・ストレスが加わり、生理痛が重くなることが考えられます。
さらに産後によく見られる骨盤が開きやすい、歪みやすいといった体の状態から血行不良が起こり、冷えの要因に。さまざまな原因が複合的に重なりあい、結果として生理痛がひどくなりやすい傾向があります。

■生理不順になった

生理不順で考えられるのは、無排卵月経という可能性。母乳の分泌に欠かせないホルモン・プロラクチンの影響で生理不順になることがあります。また、出産後すぐに始まる育児の疲れや睡眠不足によるストレス、産後うつでホルモンバランスを崩すことも生理不順につながります。
これらの原因に思い当たることがあれば、まずは疲れやストレスの解消を意識してみてください。

「おかしい」と思う前にセルフチェック

自分の身体は自分が一番よくわかっていると思いがち。でも気付かぬうちに変化しているかもしれません。「大丈夫」と過信せず、心と身体に違和感を感じる前の段階、今現在のご自身の日常生活から見直してみましょう。
今日からすぐにできるセルフチェック法をまとめてみました。

 

■基礎体温を記録する

正常な排卵が行われている場合、基礎体温は排卵日を境に高温期と低温期に分かれ、生理がきます。基礎体温を毎日記録しておけば排卵の有無を自分で確認でき、病院に行ったときも記録が役に立つはず。
健康のバロメーターチェックにもなるので、高温期と低温期が二層に分かれていないようであれば婦人科に足を運んでみてください。

■ストレスと上手に付き合う

産後の痛みを抱えながら赤ちゃんのお世話や家事はとても大変です。がんばらなければ!と育児を完璧にこなそうとすると、自律神経が乱れてストレスやうつ症状が出てしまうことも……。
ホルモンバランスを崩すストレスの原因と向き合い、考え方・やり方を変えてみてください。家族や友人にアドバイスやサポートをお願いするのが難しい場合は、都道府県や市区町村の公式サイトで公開されている産後ケア情報をチェックしてみると参考になるかもしれません。

■ライフスタイルの見直し

睡眠サイクルが整っていない生まれたばかりの赤ちゃんは、オムツ替えから授乳、抱っこ、お風呂、寝かしつけ……と24時間ほぼ休みなしでお世話が必要になります。そのため自分の睡眠時間が確保できない、食べる時間がないなど生活リズムが不安定になりがち。
家族の協力はもちろん、地域のサポートサービスや家事代行、ベビーシッターなどを活用して、休む時間を確保しましょう。


産後の生理は「いつも」と違うことが多々起こります。出産という大きな出来事を終えたばかりの身体ですので、妊娠前の状態と違うのは当たり前。不安や心配よりも自分の心と身体をよく観察して、解決できるところからひとつずつクリアしてみてください。
その上で「おかしい」と思ったら、迷わず産院や婦人科を受診してくださいね。