化粧品を選ぶとき、配合されている表記に「合成香料」と記載されていたら、肌によい・悪いどちらだと思いますか?ネガティブな印象を受けやすい「合成」という言葉ですが、正しい知識を持ったうえで考えると合成香料に対する意識が変わります。この合成香料について、天然香料の違いや化粧品の表示方法、そして香りがもたらす効果を、メリット・デメリットとともに解説していきます。
デリケートゾーンケアをはじめたきっかけ
スキンケア商品をはじめ、シャンプーやコンディショナー、ボディソープ、ヘアスタイリング剤、メイクアップアイテムなど、私たちが使う化粧品の多くには香料が入っています。
なぜ化粧品類に香料が使われるのか?その目的と効果について、まずはチェックしてみましょう。
化粧品に香料をつける目的
化粧品に香料を使う目的は大きく分けて2つ。化粧品に配合された原料の不快なにおいをかくすために添加されるケースがひとつ。そして化粧品の持つブランドイメージをよりポジティブに演出するために使われるケースです。
化粧品の香料がもたらす効果
五感(視覚・聴覚・触覚・味覚・嗅覚)の中でも嗅覚は、感情や本能に関わる大脳辺縁系に伝達されるものといわれています。
つまり心地いい香りは私たちの感情に直接働きかけ、プラスの効果が期待できると考えられています。実際に芳香心理学の視点で見ても、心身へのリラックス効果やホルモン分泌の調整など、さまざまな相乗効果が研究結果から実証されています。
いつも手に取る化粧品ならなおさら。お気に入りの香りであることに気分も上がるし、リラックス感を得やすくなります。香りがもたらす幸せ効果で、より豊かな気持ちになれる……。
それが化粧品に香りをつける意味につながると考えると腑に落ちるのではないでしょうか。
合成香料は体に悪い?天然香料との違い
一般的な化粧品に使われる香料には合成香料と天然精油があり、商品パッケージの裏に記載されています。合成という言葉から体によくないのでは?と思うところですが、それぞれの違いを理解すれば、自分が選ぶべき香料が分かるようになるというもの。
合成香料と天然香料の違いについて、メリット・デメリット含めてまとめてみました。
「合成香料」とは?
合成香料とは、化学反応を利用した方法でつくられた人工的な香りです。
具体的な原料には、天然原料、石油・石炭系原料、化合物などその種類は3,000以上。実際に使用されている合成香料は約500種類といわれています。
合成という言葉だけ抜き取ると体に悪そうですが、天然原料を組み合わせた合成香料もありますので、一概に「合成=肌によくない」というわけではありません。
合成香料のメリット
単一成分に分類される合成香料は、不純物などが少ないため天然香料に比べて肌への刺激が少ないことが特徴です。
さらに合成香料の精製は、医薬品と同じ方式が採用されるため、品質管理がとても厳しく定められています。
合成香料の内容にもよりますが、敏感肌やアトピー持ちなど肌が弱い方でしたら天然香料より肌に合うこともあるでしょう。また、大量生産で安定供給ができるため、天然香料より安く手に入りやすいのもメリットです。
合成香料のデメリット
化学的・人工的な香りになりやすいため、天然香料と比べてしまうと単調で深みのない香りと感じてしまう方もいらっしゃいます。
香りが強く、持続性が長いことが、逆に違和感を感じてしまう方も少なくありません。さらに合成された香料が肌に合わず、不快感や頭痛、アレルギー症状など安心・安全面で懸念される原料もあります。
「天然香料」とは?
自然界の花や草木、果実や動物などの動植物から抽出・圧搾・蒸留、または酸素処理でつくられるものが天然香料。天然香料基原物質リストに記載されている約600種類の品目から製造されます。
天然香料のメリット
自然のものからつくられる天然香料のメリットは、作りものではないナチュラルであること。人工的な香りにはないやさしく芳醇な香りを楽しめるのが最大の強みです。
例えば天然香料に使われる植物原料なら、ローズやジャスミン、ジンジャー、ユーカリなどいわゆるアロマテラピーで使われる精油を想像すると分かりやすいでしょう。
動物性香料なら、ムスク(ジャコウジカ)やシベット(ジャコウネコ)アンバーグリース(マッコウクジラ)などが代表として挙げられ、希少価値が高いとされています。
天然香料のデメリット
自然界にある動植物が原料となるため、産地や気候の変化、植物の状態などさまざまな理由により個体差が出る可能性があります。
言い換えれば、安定供給が難しいため、香りの違いや価格が高騰する場合があるということ。また、複数の成分が含まれるため、肌が弱い方には刺激が強すぎて合わないことも珍しくありません。
スギやヒノキのような自然由来の香料であれば、アレルギー反応が出ることもありますので注意が必要です。
香料の表示方法は?
現在の日本では、化粧品の全成分表示が義務付けられていますが、香料に関しては「香料」のみ記されていれば承認されます。精油の原料を明記するなどメーカーによって表示方法が異なるため、合成香料と天然香料の見分けができない商品も存在するのが現状といえるでしょう。
とはいえ、安全に香料を使用できるための研究を行う香粧品香科原料安全性研究所(RIFM)による安全性評価や国際香粧品香科協会(IFRA)による使用量の上限ルールといった研究や基準設定により、安全な香料開発も進んでいます。近年は、ブランドの公式サイトに細かな成分表示や安全面を説明する文言が公開されていますので、こうした情報をチェックするのもひとつの方法です。
合成香料と天然香料、それぞれメリットとデメリットが存在します。肌トラブルはないか?肌の調子はどうか?「合成」「天然」という言葉に惑わされず、自分の肌質をしっかり分析した上で化粧品を選ぶことが大切です。
香りは、心身のストレスを和らげ幸福感をもたらしてくれます。理想のセルフイメージにつながるお気に入りの香りを身に纏ってライフススタイルを楽しんでくださいね。