2024/03/20 女性のお悩みに漢方が活用できるってホント?漢方の基本とおすすめをご紹介

冷えやむくみ、生理痛に更年期症状に...と女性特有のお悩みは多岐に渡ります。それらお悩みのケアに、古くからある漢方を取り入れてみませんか?
今回は、漢方の考え方や女性特有のお悩みへの取り入れ方について紹介していきます。

女性特有の不調に漢方がおすすめのワケとは?

なぜ、漢方が女性特有の不調に活用できるのでしょうか?まずは、漢方の基本情報や特徴をみていきましょう。

漢方とは

漢方は中国の医学というイメージをお持ちの方も多いかもしれませんが、実は日本で独自に進化した医学です。
5~6世紀ごろに日本に伝わった中国の伝統医学、中医学をルーツに、日本の風土や日本人の体質に合わせて進化し、その歴史は1400年にもおよびます。「漢方」とは医学を指す言葉で、漢方で使われる医薬品を「漢方薬」といいます。

漢方と西洋医学の違い

西洋医学では、血液検査などの数値で病気か健康かどうかを判断し、検査結果が基準値内であれば病気ではないと判断します。病気と判断された場合には、病気の原因となった局所を治療することで病気を治していきます。

一方、漢方では、人間の身体はトータルバランスで健康を保つと考え、全体のバランスが崩れたら健康ではなくなるとされています。体本来のもつはたらきを高める、体自身の力で正常な状態に戻すという考え方をしています。

女性特有の不調には、冷えや倦怠感、不眠、イライラ、情緒不安定など原因がはっきりしない症状や、検査結果では異常なしと判断されることがよくあります。病気とは判断されないものの、本人は辛さを抱えていることも多いものです。 それらの状態を西洋医学では「不定愁訴」と呼びます。また、近年では病気になる前の段階である「未病」という考え方も重視されています。

身体全体のバランスで健康をとらえる漢方では、不定愁訴や未病を西洋医学と異なった視点で診るので、女性特有のお悩みのケアの選択肢として知っておくとよいでしょう。

漢方薬の特徴

漢方薬は、植物や鉱物、動物由来のものから作られた生薬を複数組み合わせた医薬品です。
病院で処方され、保険適用できる医療用漢方製剤は148種類あります(2020年時点)。
ドラッグストアなどで買える漢方薬もありますが、病院で処方されるものとは、効能効果や用量が異なることがあります。また、漢方薬も薬である以上、西洋医学の薬と同様に副作用のリスクはあるので、注意しましょう。

漢方の基本 気・血・水

漢方では、人間の身体を構成するのは「気(き)」「血(けつ)」「水(すい)」の3つの要素と定義しています。
それぞれ詳しくみていきましょう。

気(き)とは

目には見えませんが、全身をめぐる生命活動のエネルギーです。「元気」の気や「気力」の気です。漢方では、気が十分にめぐっている状態を健康と考えます。

気の巡りが悪い「気滞」の状態になると、イライラやため息をよくつくなどの症状が起こります。また、気が足りない「気虚」になると、エネルギー不足で顔色が悪い、疲れやすい、風邪をひきやすくなるなどの状態になります。

血(けつ)とは

全身に栄養を送る血液です。

栄養不足や睡眠不足から血液が足りない「血虚」の状態になると、めまい、肌の乾燥などが起こります。
血の流れが悪くなる「瘀血(おけつ)」の状態になると、目の下のくま、肩こり、腰痛などが起こりやすくなります。

水(すい)とは

血以外の水分、つまり、汗、リンパ液、唾液などの体液を意味します。水は体を潤す役割のほか、体にたまった老廃物を排出する役割もします。

水の流れが悪くなる「水滞」になると、むくみ、体が重くだるいなどの症状を引き起こします。また、水が不足する「陰虚」の状態になると、肌の乾燥、目の渇きなどを引き起こします。

女性特有のトラブルとおすすめの漢方薬

ここでは、女性特有のお悩みに活用される代表的な漢方薬をご紹介します。特に、当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)、加味逍遥散(かみしょうようさん)、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)の3つを取り上げました。

女性特有のお悩みに活用される漢方薬

当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)

血行を良くしつつ、水分代謝を整えて、余分な水分を排出します。
虚弱で疲れやすい人の足腰の冷え、めまい、月経不順、むくみなどに用いられる漢方薬です。

加味逍遥散(かみしょうようさん)

たまった気を全身にめぐらせるとともに、たまった熱を冷やし、不足している血を補って体のバランスを整えます。
体力中等度以下で、のぼせ感、肩こり、疲れやすさがある人の月経不順、月経困難、更年期障害に用いられる漢方薬です。

桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)

滞った血のめぐりを良くします。
比較的体力があり、ときに下腹部痛、頭重、めまい、のぼせて足冷えなどがある人のしみ、湿疹・皮膚炎、にきびに用いられる漢方薬です。

五積散(ごしゃくさん) 

冷えに
体を温める生薬が配合されており、血行を促進し水分代謝をアップさせます。足がむくむタイプの冷えを抱えている人におすすめです。

四逆散(しぎゃくさん)

イライラに
血流を改善し、水の流れをよくします。身体の緊張をほぐします。

五苓散(ごれいさん) 

むくみに
身体を温めて血流を改善します。利尿作用で過剰な水分を排出します。

桃核承気湯(とうかくじょうきとう) 

便秘に
血の巡りを良くする作用があり、身体を温めて気の流れをよくして、便秘の改善をサポートします。

漢方も選択肢のうちのひとつに

今回は、漢方の基本情報や女性特有のお悩みに活用できる代表的な漢方薬をご紹介しました。 女性はホルモンバランスの変化や乱れによる不調を抱えている方が多く、また冷えなど慢性的にお悩みを抱えている方もいらっしゃることでしょう。
病院で検査をしても異常は見つからないのに辛い症状があるという方は、医師と相談しながら、漢方を取り入れてみてはいかがでしょうか。