2024/02/09 女性ホルモンとアロマの関係は?香りによるセルフケアのご紹介

女性のセルフケアにもうれしいアロマ。近年は香りによるリラックスのほか、女性ホルモンとの関連も研究されています。
今回は、アロマを使ったセルフケアの方法について紹介していきます。

 

ホルモンバランスと香りの関係

そもそもなぜ、香りによってリラックスすることができるのでしょうか。精油は、植物の香り成分を抽出したものです。それらの成分が心身に影響をもたらす可能性についてみていきましょう。

 

精油が心身に影響をする可能性

香りは脳で感じるものです。
鼻から嗅いだ精油の香りは電気信号として、大脳辺縁系に伝達されます。大脳辺縁系は、感情や本能を司るところです。

香りの情報はさらに先の視床下部へも伝達されます。視床下部は、自律神経やホルモン分泌などを支配する部位です。視床下部に香りが届くことで、心身への作用につながる可能性があります。

女性の不調にはリラックスが大事

女性の体調は、女性ホルモンの影響を大きく受けています。思春期から、妊娠や出産、更年期など、ライフステージによるホルモンバランスの変化のほか、月経周期により月単位でもホルモンバランスが変化します。

ホルモンバランスの乱れは、自律神経の乱れとも関連するため、体調やメンタルに不調が起こりやすくなります。不調を改善するには、リラックスして自律神経を整えることが大事です。
アロマの香りをうまく取り入れてリラックスできれば、不調の改善につながる可能性があります。

精油が女性ホルモンに与える影響

精油がもたらす作用については、さまざまな研究が行われています。
例えば、日本アロマ環境協会は、長崎大学との共同研究で、40歳代の女性15名を対象に行った実験において、ゼラニウムとローズオットーの精油を吸入すると、唾液中のエストロゲン濃度が増加したという実験結果を発表しています。

女性にお勧めのアロマ

ここからは、女性におすすめのアロマをご紹介していきます。

 

クラリセージ

ハーブの爽やかさと甘さの両方を持ち合わせた香りで、マスカットに似た香りとも表現されます。

更年期症状など、女性特有の症状との関連について研究が行われています。また、エストロゲンに似た成分を含むとする説があり、その観点からの研究も行われています。

ゼラニウム

ローズと同じ成分を含み、フローラルな甘い香りがする精油。リラックスにおすすめで、心が落ち着かないときに用いるとよいでしょう。
日本アロマ環境協会が40~52歳の月経開始が不規則な女性19名に、ゼラニウム精油か精製水のいずれかをしみこませたシールを付けて1カ月間過ごしてもらう実験を行いました。医師の問診により実験前と実験後の更年期症状の程度を比較したところ、ゼラニウム精油を付けた群は、対照群に比べて更年期症状の改善を感じているという結果が出ました。
また、血中ホルモン濃度を大きく変えることはなく、不安感の軽減や肌・髪の状態実感などのスコアが有意に増加したという結果も出ています。

ラベンダー

幅広く用いられる、アロマの代表格ともいえる精油です。

緊張や不安を感じる時に、活用してみてはいかがでしょうか。
海外の研究機関が老人介護施設に入居中で、過去に興奮行動が見られた認知症の高齢者39人に対して、精油を垂らしたシールを毎日2時間襟元に貼り続ける​​実験を行いました。精油はラベンダー、メリッサ(レモンバーム)、比較対照となるひまわり油を2週間ごとに実施しています。
介護者による評価で、ラベンダー精油では興奮行動の一部を低減する傾向が示唆されるという結果が出ました。

スイートオレンジ

柑橘系のフルーティーな爽やかさに甘さもあり、日本人には比較的なじみがある香りであることから、初心者にもおすすめしやすい香りです。
気分を明るくしたい時におすすめです。
千葉大学などが要介護高齢女性12名に対して、次の様な実験を行いました。まず、スイートオレンジ精油を水と共に加湿器で拡散し、眠る前に10分間吸入、さらに就寝後は部屋の隅に加湿器を移し、翌朝まで加湿器を運転させたまま眠ってもらいました。そして、眠る前と起床後に副交感神経活動の指標として心拍動性(HF値)を測定したところ、スイートオレンジ精油を吸引した群では、水のみと比較して、眠る前は​​心拍動性(HF値)が増加し、起床後は心拍動性(HF値)が低下したという結果が出ています。

アロマの取り入れ方

次に、香りをセルフケアに取り入れる方法についても、ご紹介していきます。

 

アロマ(精油)の選び方

まずは、好きな香りを選ぶことが大切です。 どの香りを心地よく感じるかには個人差がありますので、無理をして苦手な香りを取り入れる必要はありません。香りを感じる遺伝子の違いや、体調によっても香りの感じ方が変わるからです。

また、豊かな香りを楽しむために、天然の精油を選ぶことも重要です。「アロマオイル」と表示してあっても、合成成分を含む商品もありますので、内容をよく確認して選ぶようにしましょう。

芳香浴法

精油を拡散して香りを楽しむ方法です。
特別な道具がなくても、ティッシュやコットン、ハンカチに1~2滴精油を垂らし、デスクや枕元に置くなどして気軽に香りを楽しめます。ただし、精油によっては、シミになるものがありますので、ハンカチなどに利用するときは注意しましょう。

他に、アロマストーンやお湯を入れたマグカップに精油を垂らして活用する方法もあります。お部屋全体に香りを拡散したいときは、ディフューザーを使うとよいでしょう。

沐浴法

全身浴や部分浴など、お湯に精油を垂らして香りを取り入れる方法もあります。
お湯を張った洗面器に精油を垂らして、手や足をひたしてもよいですし、バスタブに入れて全身浴をしてもよいでしょう。

いずれの場合も、精油が肌に直接触れることがないように注意してください。
精油は水に溶けない性質がありますので、直接お湯に垂らさずに、無水エタノール、重曹や天然塩、ハチミツなどを混ぜてもよいでしょう。

セルフケアに香りを取り入れるという選択肢も

今回は、女性のセルフケアにアロマを取り入れる方法について、ご紹介しました。
女性はライフステージごとにホルモンバランスが変化し、心身に不調を抱えがちです。しかし、香りによるセルフケアが役立つ可能性もあります。
本記事を参考に、セルフケアに香りを取り入れてみてはいかがでしょうか。