2022/08/25 女性特有の病気に備えよう!予防や早期発見のために今できること

リモートワークが増えて運動量が減り、生活習慣の乱れから体調に変化が出た方もいらっしゃるのではないでしょうか。家にいる時間が長くなっているからこそ、自分の心や身体と向き合ってみませんか?今回は、女性特有の病気に注目。女性特有の病気は目立つ症状が見られずなかなか気づけにくいこともあります。女性特有の病気の種類や症状、年代別に受けるべき検査などをご紹介します。

 

女性特有の病気、どんな種類がある?

忙しくしていると、婦人科系の不調を見過ごしがちではないでしょうか?
生理痛が重い、不正出血が続いている、月経の経血量が多い、胸にしこりがあるかもしれない……。そんな不調を見逃すと、そこには大きな病気が隠れていることもあるかもしれません。
まずは、どんな女性特有の病気があるのかおさらいしましょう。

 

乳がん

患者数も多く、女性特有の病気の代表とも言える乳がん。国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」によると、2018年の女性のがん罹患数は乳がんが1位。ただし、死亡数では5位まで順位が下がります。

つまり、ポイントは早期発見と早期治療。早期発見によって、治癒の可能性が高まる、治療の選択肢が広がる、治療後の生活の質に良い影響があると言えます。
患者数も多く、女性特有の病気の代表とも言える乳がん。がんの統計 2022によると、2018年の女性の乳がん罹患数は93,858人で1位、2020年の死亡数は14,650人で4位となっています。40代から70代にかけて罹患率が高く、およそ1割の人がかかるといわれています。

しかし、乳房にがん細胞が発生する直接の原因は、未だ解明されていないとのこと。増殖していく過程に、女性ホルモンの状態やタンパク質が関わっているとされています。遺伝や体質、生活習慣の乱れなども影響するそうで、健康的な生活を意識することが一番の予防策かもしれません。

乳がんは他のがんに比べ罹患率は高いものの、死亡率は低くなっています。つまり、早期発見によって治療の成功率や生存率は高まるのです。 定期的に自己検診や医療機関での検診が大切ですね。

また、自分で確認できるポイントとして、左右で大きさに差がないか、変形していないか、しこりがないか、などがあります。「おしえて 乳がんのコト」で詳しく図解されているので見てみてくださいね。月に1回がおすすめだそう!

子宮頸がん・子宮体がん

子宮頸がんは子宮頸部の入り口にできるがんで、原因は、HPV(ヒトパピローマウィルス)に持続的に感染することだとされています。
一般的に性交渉で感染するといわれており、多くの女性が一生に一度はウイルスに感染しているそう。ただ、感染したからといって全員ががんになるわけではありません。
通常は、自己免疫によって体外にウィルスが排出されます。排出されずに感染状態が長期間続くと、がんの前段階である異形細胞が増殖。この状態が続くと、子宮頸がんへと進行します。
年齢が若くても発症リスクが高いのも特徴です。

子宮体がんは子宮体部から発生したがんを指します。発症の原因も子宮頸がんとは違い、原因の約8割が卵巣から分泌されるエストロゲンの過剰分泌に遺伝子異常が加わったものとされています。
発症年齢も子宮頸がんより高い傾向にあり、40歳代後半から発症リスクが高まり、発症のピークは50〜60代とされています。

がんの統計 2022によると、2018年の女性の子宮頸がん罹患数は10,978人で、子宮体がんは17,089人。罹患数・罹患率は増加傾向にあります。

女性特有のがんで考えると、子宮は乳がんに続く罹患数。やはり、予防のためには検査が重要になり、検査を受けて早期発見できれば予後は良好とされています。

子宮内膜症

子宮内膜またはそれに似た組織が、何らかの原因で、子宮の内側以外の場所で発生し発育する病気です。
20代〜30代で発症することが多く、主な症状としては重い生理痛が挙げられます。ただ単に生理痛が重いだけと思っていたら、実は子宮内膜症だったということも。生理痛以外にも、性交痛、排卵痛などで病気が発覚する人もいるようです。

そして、子宮内膜症を治療せずにいると、不妊の原因になることも。生理痛の重さは人それぞれではありますが、「辛い」と感じたらすぐに受診することも大切です。

女性特有の病気はさまざまありますが、どれも、早期発見がポイント。
「何かおかしい」と思ったとき、健康診断で引っかかったときなど、早めに受診、検査し、病気や疾患が進行する前に発見できるといいですね。

それでは、実際どの病気の検査を受けるべきなのか、年代別にご紹介します。

年代別!受けておきたい女性特有疾患の検査

20代〜

まだまだ若い20代ですが、子宮頸がん・卵巣がんは若年層でも発症するため、定期的な検査の受診がおすすめです。婦人科へ行くのは抵抗があると言って先送りにしていると、思わぬ病気が見つかることも。

定期的に健康診断を受けている人もいると思いますが、検査項目は限られており、乳がん・子宮がん・子宮内膜症検査は含まれていないことがあります。いずれも若年層で発症する可能性はあるため、追加で受けてみるのも◎

人間ドックのミカタによると、"レディースドック"は普通の人間ドックと違い、乳がん・子宮頸がん・子宮内膜症・卵巣がんなど、女性特有の病気をまとめて検査できるそう。特に20代は乳腺エコー検査と子宮頸部細胞診を受けると良さそうです。
検査できる項目は医療機関によって異なるので、実際に予約する際は、機関が自分の受けたい項目に対応しているか、専門医がいるか、施設が女性に配慮しているか、定期的に受診しやすい場所にあるかどうかなどをチェックしてみてくださいね。

30代〜

引き続き、子宮頸がんや卵巣がんの検査は受けつつ、乳がん検査も追加したいのが30代。
就職、結婚、妊娠・出産など、ライフステージの変化の可能性が世代でもあります。将来のために自分の健康状態を知っておくことも大切です。

AYA世代(adolescent and young adult;思春期・若年成人)と言われる30代までの若年層において、特に女性では乳がん、子宮頸がん、甲状腺がんが増えているそう。

乳がん検査には、乳腺エコー検査とマンモグラフィーの2種類がありますが、推奨されているのは乳腺エコー検査です。理由は、30代前半はまだ乳腺が発達していてマンモグラフィーのみでは病巣を見つけにくいからだそう。 乳腺に超音波を当てて、乳房の内部を観察することで、乳がんを早期に発見したり、良性腫瘍の有無や炎症の有無を確認したりすることもできます。

子宮頸がん検査は、子宮の入り口付近の頸部をブラシなどで擦って細胞を集め、がん細胞がないか判断します。日本産婦人科学会によると、2年に1回がおすすめ。HPVワクチンを接種した方も検診は受けた方がいいそうです。

40代〜

40代以降は、乳がん検査はマンモグラフィが推奨されています。子宮がんについても、子宮頸がんだけではなく、子宮体がんの発症リスクが高まってくる年齢なので、両方の検査が必要に。

20代、30代と仕事や育児に忙しく、なかなか自分のことをケアできないという方も多いかもしれません。しかし、女性特有の疾患、病気は若くても発症するものも多くあります。

乳がん・子宮がんの罹患率が高まる40代。乳がん検査はマンモグラフィが推奨されています。また、子宮頸がん検査に加え、子宮体がん検査も必要になります。早い人では40代前半で閉経を迎え、更年期症状が出てくる人もいます。特に症状が重く、日常生活に支障が出る場合は「更年期障害」の可能性も。

日本産婦人科学会には、子宮体がんの検査法更年期障害の原因・治療法などが詳しく載っています。 どちらも女性ホルモンが影響しているそうで、ストレスをためないことが大切です。

自分だけは大丈夫と思わずに、定期的な検査を受診することで病気の予防に努めましょう。

お家時間は自分の身体と向き合って

女性特有の疾患や病気は、がんのリスクはもちろん、不妊のリスクに至ることもあります。生理痛が重い、不正出血が続くなどの不調には大きな病気が潜んでいることも。

おすすめは、「定期的に受診できる医療機関・産婦人科を早いうちに見つけておくこと」。症状が出てきたけど診てくれる病院がすぐに見つからない、自分の症状を1から説明するのが大変、他にも病気があるかも…と悩んですぐに治療に踏み切れないとどんどん症状が進むことも。早期発見して治療の成功率を上げるために、ぜひ医療機関に頼ってみてください。
お家でゆっくりしている時には、自分の心と身体と向き合えるといいですね。