2024/02/04 子宮内膜症の原因は?症状や治療法についてもご紹介

子宮内膜症は、本来あるべき場所以外で子宮内膜が発生してしまう女性特有の疾患です。子宮内膜症になると、激しい痛みが生じたり不妊になったりする恐れがあります。

今回の記事では、子宮内膜症の原因や症状、治療法などについてご紹介します。子宮内膜症についてよく理解して、早期発見のために検診を受けるなど対策をしていきましょう。

 

子宮内膜症とは

子宮内膜症とは、何らかの原因によって子宮内膜もしくはそれに似た組織が本来あるべき子宮の内側以外の部分で発生する病気です。子宮内膜症ができやすい場所としては、卵巣やダグラス窩(直腸と子宮の間のくぼみ)、仙骨子宮靭帯(子宮を後ろから支える靭帯)などが挙げられます。

また稀なケースですが、腸や肺にできることもあります。その他、卵巣に病変ができると、徐々に血液が溜まり、血液で腫大した「チョコレート嚢胞」になることもあります。

子宮内膜症を発症するのは20~30代の女性が多く、そのピークは30~34歳といわれています。

 

子宮内膜症の原因

子宮内膜症の原因は明らかになっていませんが、経血が腹腔内に逆流する現象が深く関連しているといわれています。初経が早い、生理周期が短い、妊娠回数が少ないなどの理由で月経の回数が増えると、子宮内膜症のリスクも高くなるといえるのです。

現代では働く女性が増加し、結婚年齢および出産年齢が遅くなる傾向にあります。それに伴い出産回数が減り、また子どもをもたない選択をする女性も増えているため、1人の女性が経験する生理の回数が増加傾向にあるのです。その結果、子宮内膜症にかかる女性が増えていると考えられます。

 

子宮内膜症の症状

子宮内膜症の主な症状は、以下の通りです。

● 痛み
● 不妊

子宮内膜症になると、激しい生理痛が生じるのが大きな特徴です。また生理のとき以外にも、腹痛や排便痛、性交痛などが生じることがあります。このような症状は20~30代の女性に多く見られ、加齢に伴って女性ホルモンの分泌が低下すると収まるケースが多いです。

また妊娠を希望する生殖年齢の女性の場合、不妊が大きな問題となります。さらに卵巣にできたチョコレート嚢胞は、放置しているとがんになる危険性があります。

 

子宮内膜症の治療法

子宮内膜症の治療では、薬物療法と手術がメインとなります。痛みに対しては、まず鎮痛剤を使用することが多いです。鎮痛剤で効果が感じられない場合は、低用量ピルやGnRHの拮抗剤(アゴニスト)、黄体ホルモン剤などを用いて、症状の緩和を目指します。 また卵巣にできたチョコレート嚢胞など病巣部が明らかな場合は、手術を行うことがあります。妊娠を希望する場合は、病巣部のみを切除して卵巣や子宮の正常部分を残す手術を実施。妊娠を希望しない場合は、病巣のみだけでなく、卵巣や子宮、卵管などを摘出するケースもあります。 実際の治療では、症状の程度や年齢、出産希望などを考慮して、薬物療法と手術をうまく組み合わせて行います。生理のある間は再発するケースも多く、根治は難しい病気ですが、適切な治療で上手に病気と付き合っていくことが大切です。

 

子宮内膜症に関するQ&A

ここからは、子宮内膜症についてよくある質問をご紹介します。子宮内膜症への理解を深めるために、ぜひご覧ください。

 

どのような人がかかりやすい?

子宮内膜症には、以下のような方がかかりやすいといわれています。

● 若い頃から生理痛がひどい
● 生理がつらくて学校を休んだことがある
● 鎮痛剤が効かないほど生理痛が激しい など

また、思春期以降、生理痛がだんだんひどくなってきた場合や、月経の際に便通の異常、喀血、下血などの症状が見られる場合も、子宮内膜症が疑われます。気になる症状がある場合は、一度病院を受診してみましょう。

早期発見するにはどうしたらいい?

子宮内膜症の症状進行を抑えるためには、早期発見と治療が重要です。子宮内膜症を早期発見するためには、気になる症状が出た時点で早めに検診を受けることが大切です。

たとえば生理痛が次第に悪化していたり、なかなか子どもに恵まれなかったりする場合は、一度婦人科で検診を受けましょう。また、子宮内膜症になりやすい体質が遺伝する可能性​​があるともいわれているので、お母様やご姉妹が子宮内膜症になったことがある場合は、念のため検診を受けるのがおすすめです。

子宮内膜症は、問診、内診、超音波検査などで80%​​、MRI検査で90%以上は診断できるとされています。​​しかし、確定診断には、お腹の中を実際に観察する必要があります。

子宮内膜症のリスクを理解して健康に過ごそう

今回は、子宮内膜症の原因や症状、治療法などについてご紹介しました。子宮内膜症は、月経が起こる女性なら誰もがかかる可能性のある病気です。放置していると激しい痛みや不妊につながりかねないため、早めに適切な治療を受ける必要があります。気になる症状がある方は、一度婦人科を受診して検査を受けてみましょう。