2023/07/23 子宮脱って何?発症しないための予防策を知っておこう!

子宮脱は高齢になるほど起こりやすくなりますが、実は若い世代でもリスクは十分にあります。
子宮脱になることで日常生活へ支障をきたす可能性も。子宮脱の症状や原因、子宮脱にならないために日頃から気をつけておくべきことについてもご紹介します。

 

子宮脱ってどんな病気?症状や原因は?

まずは子宮脱の症状や原因など、基本的な部分について詳しく解説します。
子宮脱について知らない方や、今自分に起こっている症状は子宮脱なのか?と不安な方はぜひ参考にしてみてください。

 

子宮脱とは

子宮脱とは子宮の一部あるいは全部が膣から脱出してしまう病気。 子宮脱の前段階として、子宮が正常の位置より下降する子宮下垂が生じますが、無症状なので、検診などで指摘されるケースが多いです。しかし、悪化すると、外陰部より子宮の一部または全部が脱出し、子宮脱に至るのです。

また、子宮は、腟・膀胱・直腸などの臓器と隣接しており、これらの臓器も一緒に下降するケースも少なくありません。そのため、骨盤内臓脱あるいは性器脱と呼ばれることもあるのです。

2015年に発表された海外の報告では20代が0.5%、40代が2.3%、60代が5.1%と年齢が上がるにつれて罹患者に割合は増えるとされています。

子宮脱の原因

子宮は骨盤底筋によって支えられています。
しかしさまざまな要因により、骨盤底筋が損傷したり、ゆるんだりすると、子宮を支えきれなくなってしまい、子宮脱が起こりやすくなるのです。
骨盤底筋が損傷したり、ゆるんだりする主な原因が出産と加齢です。出産でダメージを受けた骨盤底筋が、加齢で弱くなり、そこに腹圧がかかると子宮脱が起こると考えられています。
そのため、子宮脱を経験する方の多くが経産婦であり、なおかつ出産回数が多いほど、子宮脱になる可能性も高くなります。
子宮脱は女性の約10%が経験するとされていますが、そのうち95%が経膣分娩を経験した女性とされています。

腹圧がかかる具体的な要因は、次のような場合が考えられます。

● 肥満
● 便秘によるいきみ
● 重い荷物を持つ
● ぜんそくなどによる慢性的なせき込み

なお、帝王切開で出産した方や出産経験がない方は、子宮脱になるリスクも低いといわれています。

子宮脱の症状

子宮下垂の段階ではほぼ無症状で、婦人科検診などをきっかけに気づくケースが多いです。
しかし、状態が進行すると次のような症状が起こります。

● 腹圧をかけると膣から何か出てきたように感じる
● ピンポン玉程度の大きさのものが出てきた

さらに重症化すると子宮が定位置に戻らなくなるため、歩きにくくなったり、脱出した子宮が足にこすれて出血したりします。

 

子宮脱の治療方法は?

子宮脱の治療方法は主に次の3つで、程度によってどれを採用するかが決まります。

 

骨盤底筋運動

軽度の方や、手術が難しい方に適用される治療です。特に軽度から中程度の場合は骨盤底筋運動で症状の大幅な改善が見込めるとされています。肛門を締めてから、ゆるめるという運動を数回続けます。
どのくらい続けるかや、どのくらいの時間肛門を締めるかについては医師が判断するため、医師の指示に従いましょう。

ペッサリー療法

子宮が一部もしくは完全に出ている場合に行われます。膣の中にリング状の器具、ペッサリーを挿入して子宮脱を防ぐ方法です。
腟炎やおりものの増加、出血などの症状が起こることがあり、2〜3カ月に1回交換してもらうなどの継続した管理が必要です。
自分で脱着できる自己管理型のペッサリーもあります。

手術療法

ペッサリーで十分な効果が見られなかった場合には手術療法が適応となります。手術療法は脱出した子宮などを切除したり、緩んだ部分を縫い縮めたりする手術が一般的です。
ほかにも人工物であるメッシュで、腟壁を補強する手術もあります。どの手術が自分に合っているかは、主治医とよく相談して決めましょう。

子宮脱にならないように日頃からできることは?

出産経験があるから、必ず子宮脱になるとは言えません。
日頃から骨盤底筋を鍛えておけば、子宮脱のリスク低減が期待できます。骨盤底筋を鍛える手軽なトレーニングを積極的に取り入れましょう。肛門に力を入れて数秒我慢し、ゆるめるという運動は、デスクワーク中でも通勤時間の合間でも簡単にできます。
骨盤底筋を鍛えるトレーニングは一度にたくさんやるよりも、毎日少しずつ継続することがおすすめです。ぜひ、日常生活の中でも骨盤底筋を鍛えていきましょう。

 

子宮脱は恥ずかしがらずに医療機関へ相談を

子宮脱の症状があっても、羞恥心から受診をせずに我慢している方も多いといわれています。つまり、未受診者も合わせると子宮脱の方はもっと人数は多いと予想されます。
膣から子宮が脱出していて恥ずかしいと感じるかもしれませんが、勇気を持って医療機関へ相談することが大切です。
きっと自分にぴったりな治療法が見つかり、日常生活が今よりも快適になるでしょう。