「性感染症」という名前を聞いたことはあっても、病気の詳細や症状などについて詳しく知らない方は多いのではないでしょうか。気づかないうちに性感染症にかかるケースもあり、放置すると深刻な症状につながる恐れがあります。
今回は、性感染症の種類や感染経路、検査方法、予防方法についてご紹介します。性感染症を防いで健康に過ごしたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
性感染症とは
性感染症(STI:Sexually Transmitted Infections)とは、性行為で感染する病気の総称です。ウイルスや細菌などが、性器・泌尿器・肛門・口腔などに接触することで感染します。症状が軽かったり、出なかったりするケースもあるので、気づかないうちに感染していることがあります。
性感染症の感染経路
性感染症は、名前の通り主に性行為によって感染します。セックスだけでなく、口を使ったオーラルセックスやキスなどでも感染する可能性があるので注意が必要です。
性行為以外に、病気の種類によっては注射器の回し打ちによって血液感染したり、母子感染したりするケースもあります。
性感染症の種類
ひと口に性感染症といっても、さまざまな種類があります。ここからは、代表的な性感染症についてご紹介します。
梅毒
梅毒は、梅毒トレポネーマと呼ばれる細菌が感染することによって起こる感染症です。感染すると肛門や性器・口にしこりが生じたり、全身に発疹ができたりしますが、一旦症状が収まるので「治った」と勘違いし、発見が遅れる危険性があります。
発見や治療が遅れると、心臓や脳に深刻な合併症を起こすことがあります。
性器クラミジア感染症
性器クラミジア感染症は、日本で最も多い性感染症です。自覚症状はほとんどなく、感染に気づかないケースも少なくありません。しかし放置していると、不妊症や流産・早産、母子感染などのリスクが高くなります。
淋菌感染症
淋菌感染症は、男性にはわかりやすい症状が出る一方、女性は症状に気づきにくい病気です。男性の場合、尿道のムズムズや熱っぽさ、排尿時の痛みなどが生じるようになります。女性は男性よりも自覚症状が出にくいですが、母親が感染している場合、出産時に新生児に感染し、関節炎や失明を起こす恐れがあります。
性器ヘルペスウイルス感染症
性器ヘルペスウイルス感染症は、一度感染するとウイルスが体内に住み続けて、何度も再発してしまう病気です。初期症状がないケースが多いですが、性器に小さな水ぶくれやただれが生じることがあります。
発症すると激痛が走り、排尿困難や歩行困難に陥る可能性もあります。治った後もウイルスは体内に残り続け、疲労が溜まったときや抵抗力が低下したときなどに再発する可能性があります。
尖圭コンジローマ
尖圭コンジローマとは、外陰部に小さい尖ったイボが発生する病気です。イボができないケースもあり、痛みなどの症状もほとんどないため、感染に気づかないこともあります。イボは外陰部から膣や肛門内にもでき、集まると小さいカリフラワーのような見た目になります。
HIV/エイズ
HIV感染とは、体内にHIV(ヒト免疫不全ウイルス)が存在している状態のことです。HIVに感染しているだけでは自覚症状はほとんどないため、気づくのは困難といえます。
エイズ(AIDS)とは、HIVによって体の免疫力が低下した結果、日和見感染症などさまざまな合併症が引き起こされる状態のことです。
その他の性感染症
上記でご紹介した病気以外にも、性感染症には以下のような種類があります。
- 毛ジラミ
- 膣トリコモナス
- 性器カンジダ
- 非クラミジア性非淋菌性尿道炎
- 子宮頸管炎(マイコプラズマ・ジェニタリウム、ウレアプラズマなど)
- A型肝炎
- B型肝炎
- C型肝炎
- アメーバ赤痢
- 細菌性赤痢
- ジアルジア症(ランブル鞭毛虫症)
- 性器伝染性軟属腫
- 軟性下疳
- エムポックス
性感染症の検査方法
性感染症の検査は、医療機関や保健所で受けられます。検査方法は症状によって異なりますが、血液検査や視診、尿検査、おりもの採取などがメインです。少しでも不安を感じたら、ためらわずすぐに検査を受けましょう。
また保健所によっては、匿名・無料で梅毒やHIVなどの性感染症の検査を受けられる場合があります。夜間・休日検査やレディース・デーなどが設けられているところもあるので、検査に抵抗がある方は、ぜひチェックしてみてください。
性感染症の予防方法
性感染症を予防するためには、性行為の際にコンドームを正しく使用するのが基本です。また積極的に検査を行い、早期発見および早期治療につなげましょう。ワクチン接種によって、感染を予防できる病気もあります。
性感染症について知って適切に対策しよう
今回は、性感染症の種類や感染経路、検査方法、予防方法についてご紹介しました。性感染症は主に性行為を通じて感染し、放置していると深刻な症状に発展する恐れがあります。コンドームの使用や検査などの対策を行い、性感染症を予防しましょう。