2024/06/18 更年期には骨粗しょう症にも注意!閉経との関係や予防方法についても解説

ホルモンバランスの変化で心身にさまざまな不調や変化が起こる更年期。実はこの時期には、骨粗しょう症(骨粗鬆症)にも注意が必要です。
今回は、閉経と骨粗しょう症の関係や骨粗しょう症の予防方法について解説していきます。閉経後も健康的な毎日を過ごしていきたい方は、ぜひ本記事を参考にしてみてください。

更年期に気になる骨粗しょう症とは

まず、骨粗しょう症について基本情報や予防の重要性をみていきましょう。

骨粗しょう症とは

骨粗しょう症とは、骨の密度や強度が下がり、骨がもろくなる病気です。
2022年の推計では、骨粗しょう症の患者は、1,590万人いるとされ、そのうちの約7割が女性というデータがあります。

骨がもろくなっても、初期段階では、痛みなどの症状が出ないことがほとんどで、気付かないことも少なくありません。しかし、症状が進んで、圧迫骨折によって背中が丸まる、身長が縮む、転倒をしただけで骨折するなどの症状が現れると、骨粗しょう症が発覚することが多いです。

更年期世代から骨密度の低下に注意

骨粗しょう症の原因は、加齢や運動不足などの生活習慣、一部の疾患や薬の服用なども影響していますが、女性の場合はホルモンバランスの変化も大きく影響します。

閉経を迎える50歳前後になると、女性ホルモンであるエストロゲンの分泌量が急激に減少することにより、骨密度も低下します。骨粗しょう症というと高齢者の病気というイメージがありますが、更年期世代から骨密度の低下に注意が必要です。

骨粗しょう症は健康寿命に影響する

2019年の厚生労働省のデータによると、女性の健康寿命と平均寿命には約12年の差があります。その差は、寝たきりや要介護状態にある期間です。高齢者が転倒によって骨折し、そのまま寝たきり生活になるケースもあります。
人生100年時代に、女性が最後まで健康的な毎日を過ごすためには、骨粗しょう症の予防が重要な鍵を握るといえそうです。

閉経と骨密度の関係

骨粗しょう症は女性に多い病気で、閉経によるホルモンバランスの変化が関係していることは先にもお伝えしました通りです。ここでは、閉経と骨密度の関係について、さらに詳しくみていきましょう。

骨は代謝している

成人したあとは、骨が変化するイメージがないかもしれませんが、実は骨も体の他の部位と同様に、古いものから新しいものに生まれ変わる新陳代謝を繰り返しています。破骨細胞が古い骨を壊して溶かす「骨吸収」をし、溶かした場所に骨芽細胞が新しい骨をつくる「骨形成」を繰り返しています。
骨が生まれ変わるサイクルは、若い世代で3~5年、高齢になると5~10年といわれています。この骨吸収と骨形成のバランスが、なんらかの理由で崩れて骨吸収の方が多くなると、骨密度が低くなってしまうのです。

女性ホルモンと骨代謝の関係

女性ホルモンであるエストロゲンは、女性らしい体つきをつくる働きのほか、肌や髪のツヤやうるおいを保つことや、血管や骨を健康に保つ働きもしています。

エストロゲンの分泌量は、月経が始まる思春期から増え始め、性成熟期にピークを迎えます。そして更年期になると、エストロゲンの分泌量が急激に減少します。

エストロゲンは、骨を壊して吸収する破骨細胞の働きを抑える役割もあります。しかし、更年期にエストロゲンの分泌量が減ると、破骨細胞が抑えられず、骨形成よりも骨吸収が活発になり、骨密度が低下します。閉経の平均年齢が50歳といわれていますから、45~55歳が更年期の目安です。まだまだ若いと感じる40~50代から骨密度の低下が始まっているのです。

骨粗しょう症の予防にセルフケアでできること

骨粗しょう症の予防には、更年期世代から骨密度の低下を防いでいく必要があります。ここでは、おすすめのセルフケアをご紹介していきます。

食事

骨の健康を保つための食生活では、カルシウム、ビタミンK、ビタミンDを摂ることを意識するとよいでしょう。

■カルシウム

骨の材料となります。乳製品やししゃも、しらす、小松菜などに多く含まれています。

■ビタミンK

カルシウムを定着させる働きをします。
ブロッコリー、ほうれん草、納豆、わかめ、海藻類などに多く含まれています。

■ビタミンD

カルシウムの吸収を促します。
イワシ、鮭、きくらげ、しいたけなどに多く含まれています。

運動

適度な運動をすると、骨密度が増えやすくなります。特に、ジャンプや縄跳び、ジョギングなど、飛び跳ねる動作が入る運動がおすすめです。
運動習慣がない方は、ウォーキングや、時間をかけずに室内でもできるスクワットを日常生活に取り入れてみるとよいでしょう。

日光浴

カルシウムの吸収を促すビタミンDは、食べ物からの摂取だけでなく、日光によって皮膚でも合成されます。骨密度のアップには適度な日光浴も重要です。
また、日光を浴びると、幸せホルモンであるセロトニンが分泌されるとも言われています。メンタルが乱れやすい更年期世代には、メンタルケアとしても日光浴はおすすめです。

骨密度の検査

骨密度の低下は、初期段階では自覚症状がなく、気づきにくいものです。定期的に骨密度の検査を受けてご自身の骨密度を把握しておくことも、骨粗しょう症の予防につながります。
閉経前の40代から骨密度を把握しておき、その後は定期的に検査をして、変化に注目しておくとよいでしょう。

更年期の骨粗しょう症のリスクに備えて今からケアを

本記事では、閉経と骨粗しょう症の関係や骨粗しょう症の予防方法についてご紹介しました。
骨粗しょう症の予防は、更年期に入る前から意識しておくとよいでしょう。人生100年時代を最後まで健康的な毎日を過ごせるように、備えておきましょう。