お風呂から上がってしばらくしてから、股から液体が垂れてきた経験はありませんか?「これっておりもの?」「もしかして尿漏れ?」と驚かれる方もいらっしゃるかもしれません。その現象は膣からのお湯漏れだと考えられます。
本記事では、膣のお湯漏れの原因や対策方法についてご紹介します。
膣のお湯漏れの原因とは
膣のお湯もれは、入浴中に膣の中にお湯が入り込んでしまうために起こります。
本来であれば、膣が筋肉で締まっているので入浴中でもお湯が入り込むことはないのですが、膣を締める筋肉がゆるむと、お湯が入りこんでしまうことがあるのです。
ゆるみの原因についてみていきましょう。
出産による骨盤底筋のゆるみ
子宮や膣、尿道など、腹部の臓器を支える筋肉群を骨盤底筋といいます。その骨盤底筋が衰えると、膣を引き締める力も低下します。特に出産は、骨盤底筋に大きな負担をかけます。
妊娠中は、胎児の成長とともに大きくなっていく子宮を骨盤底筋が支えていますので、長期に渡り骨盤底筋に負担がかかります。
また、経膣分娩では、膣と骨盤底筋が大きく引き伸ばされますので、骨盤底筋のダメージやゆるみにつながることがあります。
加齢による骨盤底筋のゆるみ
加齢も膣のお湯漏れの原因のひとつです。
年齢を重ねると、骨盤底筋も含め、体全体の筋力が衰えます。筋力が衰えればそれだけ、膣を締める力も弱くなります。
出産や加齢以外にも原因がある?
膣のお湯漏れの原因は、出産や加齢による骨盤底筋の衰えが主な原因ですが、出産を経験していない方や若い方にも膣のお湯漏れが起こります。
ここでは、出産や加齢以外にも骨盤底筋が衰える原因について解説していきます。
運動習慣と姿勢
運動不足だと筋肉が衰えるのは、骨盤底筋も同様です。運動習慣がないライフスタイルを送っていると、若くても骨盤底筋も衰えやすくなります。
デスクワークなど同じ姿勢を長く続けていると、骨盤底筋の筋力が低下してしまいます。それに、足を組む、猫背など姿勢の悪い状態を長く続けていると、骨盤底筋の衰えにもつながる可能性があります。
くしゃみや便秘でいきむ
くしゃみや咳をするときは急激に腹圧がかかり、骨盤底筋に強い衝撃が伝わります。花粉症や風邪などの症状があるときは、くしゃみや咳が繰り返し出ることがあるでしょう。繰り返すくしゃみや咳が骨盤底筋に負担をかけ、ダメージを与えてしまう可能性があるのです。
また、便秘の場合は、排便時にお腹に力を入れていきむため、やはり腹圧がかかります。日常的に便秘を抱えていると、骨盤底筋にも負担がかかります。
肥満
私たちの体は立っているだけでも、重力によって骨盤底筋に負担をかけています。肥満体型の方はその分、骨盤底筋の負担が大きくなりますので、適性体重の維持が重要です。
他に、重い荷物を持ち上げる機会が多い方も、強く腹圧がかかる機会が増え、骨盤底筋のダメージにつながることもあります。
膣のお湯漏れを放置するとどうなる?
膣からのお湯漏れは、QOLを下げかねない悩ましい問題ではありますが、深刻な症状とは感じないことが多いでしょう。しかし、原因である骨盤底筋の衰えをそのまま放置すると、深刻な症状を引き起こす可能性があります。
どんなリスクがあるのか、順にみていきましょう。
尿漏れ
尿漏れは、膣のお湯漏れ以上に、QOL(生活の質)に影響する問題です。日本泌尿器科学会によると、40歳以上の4割以上が尿漏れを経験していると紹介しています。
尿漏れにはいくつか症状がありますが、そのうち、よく見られる尿漏れの症状は腹圧性尿失禁です。咳やくしゃみでお腹に力が入ったときに尿漏れを起こす腹圧性尿失禁は、骨盤底筋の機能低下が原因です。骨盤底筋の衰えを防ぐことは、尿漏れを防ぐためにも重要です。
骨盤臓器脱
骨盤底筋の衰えによるトラブルの中で、尿漏れよりもさらに深刻なのが骨盤臓器脱です。 子宮や膀胱、直腸など骨盤にある臓器が下がってきて、膣から体の外に飛び出してしまう症状です。ひとつの臓器が出てしまうこともあれば、複数の臓器が同時に出てしまうこともあります。歩行に支障をきたすなど、日常生活にも大きく影響します。 軽度の場合は、骨盤底筋を鍛えることで改善することもあるようですが、重い症状になると手術が必要になることもあります。
セルフケアでできる膣のお湯漏れ対策とは
膣のお湯漏れの対策としてセルフケアで出来ることをご紹介します。骨盤底筋を鍛えることで、尿漏れや骨盤臓器脱の予防にもつながるでしょう。
トレーニングで骨盤底筋を鍛える
骨盤底筋を鍛えるためによく活用されるトレーニング方法がケーゲル体操です。
■トレーニングの手順
- 仰向けに寝て、足を肩幅に広げ両ひざをたてる
- 膣や肛門を締めるように力を入れ、5秒間~10秒間キープする
- 力をゆるめてリラックス
これを10回程度繰り返すのを1セットとし、1日に数セット行う
ケーゲル体操は、立った状態でも、座った状態でも行えます。特別な道具もいらず、手軽にできますので、日常生活の中にも取り入れやすい体操です。回数は目安ですので、無理をせずにご自身の体力に合わせて行ってください。
生活習慣を見直して便秘や肥満を予防する
便秘や肥満を予防して、骨盤底筋への負担を抑えることも対策となります。便秘や肥満の予防には、バランスの取れた食生活が重要です。
とくに、腸内環境を整える働きをする食物繊維を多く含む食品と発酵食品は積極的に摂るとよいでしょう。食物繊維は、いも類、海藻類、きのこ類などに多く含まれます。納豆や味噌汁、ヨーグルトなどの発酵食品を、日々の献立に取り入れることも意識しましょう。
食生活の他に、ウォーキングやジョギングなど、運動を習慣づけることも大切です。長時間のデスクワークや運動不足は、骨盤底筋の衰えにつながりますから、日常生活に運動習慣を取り入れましょう。
膣のお湯漏れは大事なサインかも!?骨盤底筋を鍛えよう
今回は、膣のお湯漏れについての原因と対策について解説しました。膣のお湯漏れそのものは深刻な問題と感じないかもしれませんが、原因となる骨盤底筋の衰えを放置していると、尿漏れや骨盤臓器脱などにつながる可能性もあります。
膣のお湯漏れは、「骨盤底筋の衰えのサイン」ととらえ、今からトレーニングや食生活に気を配りましょう。