膣のゆるみを気にしたことがありますか?膣の状態は、お肌のように目で見て状態を確かめることはできませんので、自分で判断するのは難しいと感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回は、膣のゆるみから起こる症状や対処法についてご紹介してます。
膣のゆるみで起こる症状
膣のゆるみが原因と考えられる症状には、どのようなものがあるのでしょうか。代表的な症状をみてみましょう。
⚫︎ 咳やくしゃみをすると尿漏れする
⚫︎ お風呂からあがったあと、膣からお湯が漏れる
⚫︎ 膣に空気が入ってオナラのような音がする
⚫︎ タンポンが落ちてきてしまう
⚫︎ 性行為の感度が変わった
⚫︎ パートナーにゆるみを指摘された
などの症状がある場合は、膣がゆるんでいるサインかもしれません。
ですが、本人の自覚症状やパートナーの指摘は主観です。客観的に判断するには、自由診療にはなりますが、医療機関で膣圧を測定するという選択肢もあります。
膣がゆるむ原因
次に、膣がゆるむ原因や、膣のゆるみにつながる生活習慣についてご紹介します。
加齢による膣粘膜の衰え
膣も他の器官と同様に、年齢に伴い老化します。
とくに、女性ホルモンであるエストロゲンが減少する更年期世代になると、膣の表皮が薄くなっていきます。2012年にアメリカの研究チームが発表した論文では、更年期にはコラーゲンの構造や弾力性が変化することが示唆されています。
骨盤底筋の衰え
骨盤底筋とは、骨盤の下から子宮や膀胱、尿道などを支えている筋肉群のことです。この骨盤底筋が衰えると、それらの器官を支える力が低下するため、膣のゆるみにつながります。さらには、排泄をコントロールする力も衰えて、尿漏れなどの症状が起こりやすくなります。
尿道、腟、肛門をしめたりゆるめたりする動きは、骨盤底筋によって助けられているからです
膣のゆるみにつながる生活習慣やきっかけ
運動不足
運動不足になると、他の筋肉と同様に骨盤底筋も衰えます。
特に、長時間座りっぱなしのデスクワークは、運動不足になりやすいだけでなく、骨盤底筋に負担がかかります。長時間座っていると、骨盤底筋の血流も低下してしまいます。
出産
出産は、骨盤底筋に負担をかけます。加えて、出産時に膣壁が大きく引き伸ばされることも、膣のゆるみにつながります。引き伸ばされた膣壁は、出産後に少しずつ戻るものの、完全に元の状態には戻りにくいといわれています。
強いいきみ
強くいきむことで、骨盤底筋が傷んでしまう可能性があります。重いものを持ち上げたり、排便で強くいきんだり、喘息で咳をしたりすることも、骨盤底筋の損傷につながると言われています。
他にも、肥満や姿勢の悪さなどが骨盤底筋に負担をかけ、膣のゆるみにつながる可能性があります。
膣のゆるみと関連する可能性がある病気
膣のゆるみはさまざまな病気につながる可能性もあります。
骨盤臓器脱
筋力の低下で臓器を支える力が衰えると、膣口から子宮や膣、直腸などが外に出てしまう骨盤臓器脱という病気になる可能性あります。
脱出する臓器によって子宮脱、膣脱、膀胱瘤、直腸瘤、小腸瘤に分類されますが、それを総称して骨盤臓器脱といいます。
同時に複数の症状が現れることもあります。
自覚症状は、頻尿や尿の出にくさ、膣にピンポン玉のような異物を感じることなどがあります。初期段階では、腹圧がかかったときにだけ外に臓器が飛び出す程度ですが、症状が悪化すると常に臓器が飛び出た状態となり、歩行にも支障が生じることがあります。自然と治る病気ではありませんので、矯正器具を用いた対症療法や手術などが必要になります。
閉経関連性器尿路症候群(GSM)
膣粘膜の異常は閉経関連性器尿路症候群(GSM)の可能性もあります。閉経に伴う女性ホルモンの分泌低下によって起こる症状で、2014年にアメリカで提唱されました。
ただ、日本の医療界では見解が分かれているため、詳しい研究などはこれから。膣の外側、粘膜、内部の皮膚にさまざまな変化が起こるとされています。
膣のゆるみ対策としてできるセルフケア
膣のゆるみ対策として、毎日取り入れたいセルフケアについてご紹介します。
運動で骨盤底筋を鍛える
骨盤底筋を運動で鍛えることによって、ゆるみ対策として期待できます。
ケーゲル体操やワイドスクワットが手軽でおすすめです。どちらも特別な道具を必要とせず、場所を問わずに出来るので、ぜひ日常生活に取り入れてみてください。
ケーゲル体操は、骨盤底筋をしめたりゆるめたりを繰り替すトレーニングで、仰向け、立った状態、座った状態とさまざまな姿勢で取り組めます。
ケーゲル体操の方法
①お好きな姿勢で力を抜く
②膣や肛門を締めることを意識して少しずつ力を入れ、5~10秒キープ
③力を抜いてリラックス
この動きを5~10回、1日3~5セット行うのがおすすめです。
ワイドスクワットの方法
①両足を肩幅より広く開く
②お尻を突き出すようにしながら膝を曲げ、太ももと床が平行になるまで腰を落とす
③ゆっくりと元に戻る
この動きを3~5回、1日3~4セット行うのがおすすめです。
他に、ヨガやピラティスも、骨盤底筋を鍛えるのにおすすめなので、積極的に取り組んでみましょう。
食生活の改善
運動習慣に加え、食生活を見直し栄養のバランスがとれた食事をとることも大切な要素。
大豆に含まれる大豆イソフラボンは、特に積極的に摂取したい成分です。大豆そのものはもちろん、納豆や豆腐などの大豆製品も取り入れていきましょう。
また、強いいきみによる骨盤底筋へのダメージを少なくするためにも、規則正しいお通じも大切。食物繊維や発酵食品などを、積極的に摂取するとよいでしょう。
セルフケアを積極的に行い膣のゆるみ対策を
今回は、膣のゆるみについてご紹介しました。
膣のゆるみは、加齢による膣の老化や出産、骨盤底筋の低下などが原因となります。放っておくと、生活の質の低下や骨盤臓器脱などの病気につながるリスクもあります。運動や食生活の改善などのセルフケアでも改善が見込めるので、積極的に取り入れていきましょう。