「膣萎縮」という言葉を聞いたことがありますか?デリケートゾーンのお悩みは、もしかしたら膣萎縮が関係しているかもしれません。
本記事では、膣萎縮の原因や症状、対処法について解説していきます。デリケートゾーンに不快感やお悩みを抱えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
膣萎縮とは
「膣萎縮」とは正確な用語ではなく、医学的には膣や外陰部が乾燥して萎縮し、炎症を起こした状態を指す「萎縮性膣炎」として扱われます。
まず、膣萎縮とはどのような状態なのか、どんな人に起こりやすい症状なのかをみていきましょう。
膣萎縮で起こること
女性の体は、更年期と呼ばれる45歳~55歳頃になると、女性ホルモンであるエストロゲンの分泌量が急激に減少します。エストロゲンは、女性らしい体をつくるホルモンともいわれ、美しい肌を保つ働きもしています。
エストロゲンの分泌が減ると、膣が萎縮するのです。
まず、エストロゲンの減少により、性器の血管が萎縮します。さらに、組織のコラーゲンが減少し、膣や粘膜が薄くなったり、水分量が減ったりして、摩擦で傷つきやすくなってしまうのです。
膣の中は通常、乳酸桿菌とよばれる常在菌が存在しており、膣を健康に保っていますが、エストロゲンが減少すると、乳酸桿菌も減少してしまいます。すると、膣の中に細菌が繁殖しやすくなり、炎症を起こすことがあります。
膣萎縮による摩擦や感染に伴う膣の炎症を萎縮性膣炎といいます。
膣萎縮はどんな人がなりやすい?
更年期の女性はエストロゲンの分泌量が減少するため、膣萎縮の症状が起こりやすくなります。
ただし、20代~30代の若い世代でも、早期閉経や卵巣の摘出により、エストロゲンの分泌量が低下して、膣萎縮が起こることがあります。
また、以下の条件に当てはまる若い女性にも、膣萎縮が見られる場合があります。
- 月経不順
- 産後の長期の授乳
- 長期の低用量ピル内服
- 喫煙の習慣がある
- ガンの治療後
膣萎縮の症状と対処方法
次に、膣萎縮による症状や、対処方法についてみていきましょう。
膣萎縮による症状
膣萎縮によって、以下のような症状が起こりやすくなります。
- 下着の擦れ
- 座ったときの痛み
- デリケートゾーンのムズムズ
- 性交痛
- おりものの色やにおいの異常
- 性交時、性交後の出血
- 排尿時の痛み
膣や外陰部が乾燥して、摩擦で傷つきやすくなったり刺激を受けやすくなったりします。下着の擦れや性交痛などが起こります。
また、膣内の常在菌が減ると、雑菌が繁殖しやすい環境になって炎症が起き、おりもののにおいや外陰部のムズムズにつながります。
膣萎縮の治療法
膣萎縮による症状は、QOLを下げる不快な症状でありながら、なかなか人には相談しづらい症状です。気になる症状がある方は、婦人科を受診するとよいでしょう。主な治療法は次の通りです。
■エストロゲンの補充
膣萎縮の原因は、エストロゲンの低下ですので、局所投与か全身投与でエストロゲンを補充します。
局所投与には膣座薬、全身投与には内服薬が処方されます。
■薬物療法
膣の細菌感染には抗菌薬を、外陰部に炎症を起こしている場合は抗ヒスタミン薬やステロイド薬を用います。
■膣内洗浄
細菌性の膣炎が起きている場合は、膣内を洗浄して細菌を除去します。
膣萎縮による不快な症状の予防方法
ここでは、膣萎縮から起こるさまざまな不快な症状の予防に、セルフケアで出来ることをご紹介します。
デリケートゾーンを清潔に保つ
膣萎縮により常在菌のバランスが崩れると、自浄作用が低下します。萎縮した膣は細菌に感染しやすい環境になっていますので、デリケートゾーンを清潔に保つことが重要です。
デリケートゾーン用の製品で優しく洗うようにしましょう。その際は、膣の中まで洗う必要はありません。また、洗いすぎても肌にダメージを与えますので注意してください。ビデの使いすぎにも気をつけましょう。
保湿ケアをする
デリケートゾーンのムズムズやヒリヒリは乾燥によって起こりますので、保湿ケアをしっかりと行うことが大切です。顔や手足と同様にお風呂上りには、保湿する習慣をつけましょう。
ただし、デリケートゾーンは肌が敏感な場所でもありますので、刺激が強くない製品を選ぶようにしてください。赤ちゃんの肌にも使われるワセリンや、デリケートゾーン用のクリームやジェルがおすすめです。
膣萎縮が起こるのは更年期だけではない!日頃からデリケートゾーンのケアを
今回は、膣萎縮について症状や対処方法についてお伝えしました。
更年期になると、エストロゲンが減ることから膣萎縮による不快な症状が起こりやすくなります。日頃からデリケートゾーンのケアをして、トラブルを予防しましょう。
また、膣萎縮は若い人にも起こりうる症状です。気になる症状や辛い症状があるときには、年齢を問わずに婦人科を受診するようにしましょう。