肌が乾燥しないよう顔や身体に化粧水やクリームなど丁寧なスキンケアを行うように、デリケートゾーンも「乾燥は大敵」です。
このコラムでは自覚するのが難しいとされる膣まわりの乾燥について、原因と正しいケア、そしてご自身で確認できるセルフチェックをお伝えします。
デリケートゾーンの乾燥ってどんな状態?
デリケートゾーンの乾燥とはカサつき、むずむずなどの違和感を伴った状態を指します。
この違和感がある状態を放置してしまうと膣内の自浄作用が低下し、ニオイ、黒ずみ、かぶれ、できものなどさまざまなトラブルを引き起こす可能性があります。
自浄作用により常に湿っている状態が理想の膣です。無自覚で何もしないままにしておくと本格的なデリケートゾーンのトラブルに発展しますので、少しでも膣周辺に違和感を感じたら乾燥を疑ってみましょう。
デリケートゾーンが乾燥する原因
肌に触ればなんとなく分かる顔や身体の乾燥と違い、触れるだけでは判断しにくいデリケートゾーンの乾燥。どのような理由から乾燥してしまうのか、その原因について解説していきます。
1.デリケートゾーンの洗いすぎ
むずむずを伴う乾燥に悩まれている方に多いのが、間違ったデリケートゾーンの洗い方。
「洗浄力が高い体用のボディソープを使う」
「膣まわりをゴシゴシ強く洗う」
「熱いお湯で流す」
このような洗いすぎによって自浄作用が弱まり、乾燥はもちろん、キズついたり黒ずみの原因になったりすることも。皮膚の厚さがまぶたよりも薄いといわれるデリケートゾーンは、洗いすぎることでトラブルを招く可能性があります。
2.ナプキンの擦れ
ナプキンが肌に擦れて肌に赤みが出ると、乾燥が起きやすくなります。また長時間ナプキンをそのままにするとムレて雑菌が増えてしまうことも。
肌が敏感な生理中はナプキンをこまめに取り替えて清潔な状態をキープすることが乾燥予防にもつながります。
3.下着の擦れ、素材やサイズが合わない
下着の擦れ、素材やサイズが合わない場合も肌は乾燥しやすい状態になるため注意が必要です。乾燥だけでなく、色素沈着が起こり、くすみや黒ずみの原因になるともいわれています。
4.脱毛による肌のバリア機能低下
カミソリやシェーバー、エステ(医療)脱毛などの脱毛処理は、肌表面のバリア機能を弱め乾燥を促してしまいます。
さらに光脱毛やレーザー脱毛は、メラニンに反応して熱を発する際、水分が奪われて乾燥を悪化させてしまう可能性も。
カミソリやシェーバーは角質層表面の皮脂を取りすぎて乾燥肌になりやすいとされています。
5.女性ホルモンの影響
ホルモンバランスに左右されやすい女性の身体は、ホルモンの影響でデリケートゾーンも乾燥してしまうことがあります。
また、産前産後や更年期といった女性ホルモンの乱れや減少が起こりやすいタイミングも膣まわりが乾燥する傾向にあります。
自覚あり?デリケートゾーン乾燥チェック
デリケートゾーンが乾燥しているかどうかは、細かなところまで自分の身体を観察することが大切。婦人科を受診する前にセルフチェックできる項目をまとめましたので、まずは自己診断してみましょう。
- 膣まわりがむずむずする
- デリケートゾーンに出血が見られる
- タンポンが挿入しにくい
- 性交時に不快感がある
- 運動など激しい動きをすると膣が痛む
- 少しの刺激でもヒリヒリする
- 肌に赤みがある
- 排尿時にしみる
- ニオイが気になる
膣の乾燥は、膣の粘膜が乾いているという意味を持つドライバジャイナとも呼ばれ、近年注目されています。
乾燥を放置してしまうと自浄作用が乱れ、雑菌の繁殖につながり上記のような症状が出てしまうことも。
悪化すると病気にもつながることもあるので、明らかに様子がおかしいときは、早い段階で婦人科に受診することをおすすめします。
健康なデリケートゾーンを目指す乾燥対策は?
自覚しにくいデリケートゾーンの乾燥は、なによりも先に自分自身が「膣」に関心を持ち、日常的にチェックをしてケアを取り入れることが乾燥対策への第一歩になります。ここでは自宅でできる乾燥対策をご紹介します。
1.膣の状態を常にセルフチェック
おふろに入るとき、トイレに行ったときなど、日々の生活でデリケートゾーンに触れるタイミングはセルフチェックにぴったり。
例えば入浴時なら、清潔な指で膣まわりの様子や入口周辺の粘膜に異常がないか常に確認しておくと何かあったときの変化に気づきやすくなります。
2.デリケートゾーン専用ソープでやさしく洗う
デリケートゾーンの洗浄は、専用のソープをしっかり泡だてやさしくなでるように洗うのが基本です。とくに膣まわり特有の汚れ恥垢が溜まりやすい大陰唇と少陰唇は丁寧に洗うといいですね。
皮膚が薄く、粘膜に近い弱酸性の皮膚環境といわれているデリケートゾーンに適したものを使い続けることで肌への負担が減り、乾燥対策にもつながります。
3.デリケートゾーン専用のスキンケアで保湿
洗浄したままでは乾燥してしまいますので、デリケートゾーン専用の化粧水や美容液、クリームでしっかり保湿しましょう。
デリケートゾーンはもちろん、近年は全身に使えるタイプや保湿に優れたもの、アロマによる癒し効果など使い心地のいいスキンケアが登場していますので選ぶ楽しさも広がりつつあります。
どうしても…の時は「婦人科」へ
デリケートゾーンの乾燥がひどくなっている場合は専門家に頼ることも必要です。どの医療機関へ足を運べばいいのか迷うところですが、皮膚科か婦人科がおすすめ。「どんな症状なのか」「いつから症状が出たのか」「直近の月経周期」など医師に情報を伝え、適切な治療法を選択していきましょう。
女性の健康と深く関わるデリケートゾーンの乾燥は、自分の身体をもっとよく見て!と注意を知らせるサインかもしれません。ふっくらうるおいのある乾燥のない肌を目指してくださいね。