2022/10/08 10月11日は国際ガールズ・デー!女の子のためのイベントと私たちにできる取り組みとは

"国際ガールズ・デー"がどのような日か、ご存じでしょうか。今回は10月11日の国際ガールズ・デーに合わせ、その成り立ちや概要について詳しくご紹介します!実際に行われたイベントや、取り上げられたテーマ、私たちにできることなどもまとめていますので、参考にしてみてくださいね。

 

国際ガールズ・デーの成り立ちとは

国際ガールズ・デーは、世界70カ国以上において、将来的な子どもたち・女の子たちの自立を推進している国際NGOのプラン・インターナショナルが起源。「Because I am a Girl(女の子だから)」というグローバルキャンペーンの一環として、2010年に団体は、発展途上国に住む女の子の権利が侵害されていることを国際連合に訴えました。
そして2011年12月、国連総会において「世界中の若い女性たちが直面している問題をみんなで考えること」を目的に、毎年10月11日が国際ガールズ・デーとして定められたのです。

 

女の子たちが受ける差別とは

世界の女の子たちは日本に住んでいる私達には考えられないさまざまな差別を受けています。ここでは、女の子たちが受ける差別についてまとめました。

 

教育格差

「女性だから」「子どもだから」という二重の理由で差別を受ける女の子たち。ユニセフの統計によると、現在、世界では約1億2,900万人もの女の子たちが学校に通えていないとのこと。小学校に行けない子が3,200万人、中学校に行けない子が3,000万人、高校に行けない子が6,700万人いるそう。
特に紛争が起きている地域で数が多く、理由は貧困・児童婚・性暴力などさまざま。学校で女の子に必要な衛生環境が整っていないことも。男の子の教育を優先させる家庭もあるようです。

児童婚

毎年1,200万人の女の子が18歳以下で結婚させられているという統計が出ています。累計ではなんと6億5,000万人にものぼるとか。さらに、女の子の児童婚の数は男の子の6倍だそう。
児童婚は、女の子から大切な子供時代や教育の機会を奪ってしまいます。家庭内暴力を受ける可能性も高くなり、児童婚をしなかった子よりも健康状態が悪く、経済的にも苦しむことになります。

性暴力

教育格差や児童婚に比べ、性暴力は先進国でも多く起きています。特にパンデミックの影響で外出が減った結果、家庭内暴力の被害を受ける子が増加傾向に。UN WOMENの統計によると、2人に1人の女性が、パンデミック後に暴力を受けたことがあるそうです。
また、アフリカを中心に昔からある深刻な性暴力の1つに、女性性器切除(FGM)があります。これは、医学的理由なしに、女性外生殖器の一部または全てを切除する処置で、大人になるための通過儀礼とされていることも。エジプトやエチオピアなどを主として、30カ国に住む2億人以上の女の子が被害を受けたことがあるそうです。

国際ガールズ・デーとはどんなイベント?

女の子への差別は、発展途上国を中心に世界各地で根強く残っているのが現状。持続可能な開発目標(SDGs)の中の、目標4「質の高い教育をみんなに」と目標5「ジェンダー平等を実現しよう」にも通じる国際ガールズ・デー。この目標を達成するため、記念日が定められた翌年の2012年から、毎年10月11日には世界各国でさまざまなイベントが開かれるようになりました。

 

毎年のテーマに沿って、女の子の権利を国際社会に呼びかける日

国際ガールズ・デーのイベントは、女の子たちが教育を受ける権利やエンパワーメントを国際社会に呼びかけることを目的としたチャリティイベントになります。いろいろな境遇の女の子のことを考えた企画を実施するため、毎年違うテーマが決められます。
最初のテーマは、「児童婚の撲滅」。「私の人生、私の権利、児童婚を根絶しよう」をスローガンに、国連女性機関や国連人口基金、ユニセフなどの協力のもと世界中で開催。暴力、早期妊娠、HIV感染、妊産婦死亡や身体障害などのリスク軽減に貢献しました。
その後も、「女子教育の革新(2013)」「思春期の女の子の力(2015)」「​​女の子の進歩(2016)」など、女の子たちが暴力や差別のない世界で暮らせるよう、彼女たちの教育や健康、福祉を発展させるためのアクションが取られました。

国際ガールズ・デーで行われてきたイベントとは

世界各地で、女の子たちが自分たちを取り巻く環境を訴え、健康的かつ文化的な生活を求める声があがっています。
自分の意志で生活を送り、自分の力で自分の人生を形作っていきたい。女の子たちにこういった権利主張の場を提供することも、国際ガールズ・デーの役割の1つ。では実際に今までどんなイベントが開催されてきたのか見ていきましょう。

 

Raise Your Hand

Raise Your Handとは、2012年から2014年の間に行われたチャリティイベント。女の子の教育を世界の目標として優先付けてもらうことが目的でした。
署名の代わりに手を挙げた写真を撮影するという取り組みが行われ、Plan Internationalによると、2014年には、約230万人もの人が国連事務総長に写真を提出。女の子の教育環境の整備を促進することができたとされています。

フレスコ画を塗り替えるアクション

2013年に行われたものです。教育を受けられず労働をさせられ、過酷な状況にいる女の子たちのフレスコ画を街角に設置。通りかかる人に消しゴムでフレスコ画を消してもらうと、下から学校で勉強する女の子の絵が浮かぶというものです。
このフレスコ画は、ロンドンやアムステルダム、ニューヨーク、メルボルンなど、世界各国に設置されました。行き交う人々に女の子への教育の必要性、支援への協力を訴えたチャリティイベントです。

Pinkify

Pinkifyは、2012年から行われているチャリティイベントで、毎年10月11日に各国が象徴的な建物やモニュメントなどをピンクにライトアップします。国際ガールズ・デーの支持表明をすること、世界に広くこの記念日を知ってもらうことが目的です。
エンパイア・ステート・ビルディング、ロンドン・アイ、ナイアガラの滝、ピラミッドなど、世界中で行われているチャリティイベント。点灯式に有名なハリウッド女優やモデルが出席していることから、注目度が高まっているという背景もあります。

Girl’s Leadership

Girl’s Leadershipは、2016年から行われているイベントで、女の子のリーダーとしての可能性を社会に伝えることが目的でした。イベントでは、女の子が社長や校長、大統領などのリーダーポジションを1日体験。先頭に立ち、影響力を持って自ら声を上げることができました。

#GirlsTakeover

“Girls' Progress(女の子の進歩)”をテーマに2016年に行われたイベントです。男女平等が進んだ世界の姿を見せるために、社会と政治に根本的な変化を起こす行動を呼びかけました。イベントでは、50カ国以上の女の子たちが指導者の立場に立ち、各国の政府に対し人権侵害を訴えました。
このイベントを通して、女の子たちは、自分には自分の人生と他者を変える力があることを世界に示すことができました。

テアのウェディングブログ

テアのウェディングブログは、2015年にノルウェーで行われたキャンペーン。結婚が決まった12歳の女の子テアが、将来の不安や期待などをブログに綴ったものです。早すぎる児童婚撲滅のために書かれたこのブログは、国内で大きな物議を醸すことに。
ブログを読んだ国内の人々からは、児童保護センターや警察への通報が寄せられました。そして結婚式当日、児童婚反対を叫ぶ人の声によって、式は中止に。その後もさまざまなメディアに取り上げられるなど、このキャンペーンは大きな反響を呼びました。

国際ガールズ・デーの国内過去3年のテーマ

プラン・インターナショナルは、国内でも独自のイベントを国際ガールズ・デーに開催しています。「THINK FOR GIRLS(女の子たちに思いを馳せる)」をテーマにした、過去3年分のイベントを紹介します。

 

遠い国の女の子の未来のために(2019)

「THINK FOR GIRLS 遠い国の女の子の未来のために」は、2019年のテーマです。グアテマラという国の、男性優位主義によって厳しい立場に置かれている女の子の現状に、焦点が当てられたもの。グアテマラに住む女性のトークイベントや、映画の上演会などが行われました。
2019年は、「遠い国の女の子の未来のために」がテーマ。中南米グアテマラの、男性優位主義によって厳しい立場に置かれている女の子の現状に焦点が当てられました。グアテマラに住む女性のトークイベントや、『1日1ドルで生活』というドキュメンタリー映画の上映会などを開催。途上国の女の子たちについて考えることができました。

コロナ禍の女の子たちのために私たちができること(2020)

2020年は、パンデミックにより、中途退学や性暴力、児童婚などの影響を強く受けてしまった女の子たちに着目。オンライン上でも性差別が起きてしまう状況の中、彼女たちの人生を守るために何ができるのか、必要なことは何か。SNSを通して、スプツニ子!さんと大崎麻子さんがコロナ禍の女の子たちとデジタルをテーマにトークイベントを開きました。

女の子たちが再び夢を描ける世界へ(2021)

2021年は、困難な状況に立ち向かい、夢を実現しようとする女の子たちを応援することがテーマ。異なる国の9人の女の子たちが各々の強みを活かして差別を乗り越える姿が描かれた「世界じゅうの女の子のための日 国際ガールズ・デーの本」という絵本が出版されました。
また、NHK記者の柳澤あゆみさんによる、中東・アフリカの女の子たちが受ける女性性器切除の被害についてのオンライントークイベントも開催。遠い国の女の子たちが置かれている苛酷な状況を知るきっかけとなりました。

国際ガールズ・デーを通して私たちにできること

2022年に10周年を迎えた国際ガールズ・デー。今年の世界のテーマは”Our time is now—our rights, our future(今こそ、私たちの権利を、私たちの未来を。)” まだパンデミックが続く中、日本にいる私たちができることをまとめてみました。

 

女の子たちの現状について学ぶ

まずは、世界の女の子たちが直面している問題について知ることから始めてみましょう。プラン・インターナショナル、ユニセフ、国連女性機関などのホームページを見てみましょう。世界の情勢によって新しい被害が生まれてしまうこともありますし、状況は日々変化していきます。女の子たちの現状を知るだけでも、行動は変わるかもしれません。

女の子たちについて共有する

世界を変える力を持つ女の子たちについて、インターネットやSNSで共有してみましょう。彼女たちはどんな生活を送っているのか、何ができるのか、何を夢見ているのか、彼女たちの写真や動画などもあわせてみんなが共有すれば、世界にきっと刺激を与えることができます。国際ガールズ・デーは、女の子のリーダーシップや行動力、影響力を世界に広めるチャンスです。#IDG2022や#DayOfTheGirlなどのハッシュタグも忘れずに!

周りの人と話してみる

自分の友だちや家族、パートナーと、女の子たちについて話すこともできます。例えば、自分の学校やコミュニティにゲストスピーカーを招待したり、話題の映画を上映したり、会話の機会を設けてみてください。自ら国際ガールズ・デーのイベントに参加するのもよいですね。
正義や人権、平等などについて話し合ったり、自分の感想を述べたりして、言語化してみると、解決策が浮かんでくるかもしれません。そして、女の子たちを支援する機関や法人、政府などに働きかけられるといいですね。

世界中の女の子が自分らしくいられるように

世界中の女の子たちは、満足のいく教育、心身の健康、暴力のない生活のため、毎日たくさんの困難に立ち向かっています。この国際ガールズ・デーをきっかけに、より多くの人が、女の子たちの可能性を信じ、行動に移せることを願っています。