毎年10月11日は、国連によって定められた国際ガールズ・デーです。女の子の権利やエンパワーメントの促進を呼びかけるこの日に合わせて、生理について考えてみましょう。生理は女性が経験する当たり前の事象であるにもかかわらず、「恥ずかしい」「嫌だ」と捉えている方は少なくありません。
今回は生理にまつわる社会的な問題や、女の子が自分らしく生きるために知っておくべきことなどについてご紹介します。「なんとなく生理は恥ずかしい」と感じている方は、ぜひ参考にしてみてください。
国際ガールズ・デーとは?
国際ガールズ・デーとは、女の子の権利やエンパワーメントの促進を、広く国際社会に呼びかける日のことです。国際NGOであるプラン・インターナショナルの働きかけを受け、国連によって毎年10月11日が国際ガールズ・デーとして定められました。
途上国の一部では女の子が経済的・文化的理由によって学校に通えず、10代前半で結婚させられることがあります。先進国においても、女の子には未ださまざまな社会的制約が残っていることがあります。
国際ガールズ・デーには、世界各地で女の子自らが声をあげ、その子たちを応援するアクションやイベントが開催されます。女の子が適切な教育や支援を受けられる社会をつくることで、女の子たちの可能性が無限に広がる未来に変えられるでしょう。
生理にまつわる問題点
生理の貧困や不十分な性教育など、生理に関しては世界でさまざまな問題があります。ここからは、生理にまつわる問題点についてご紹介します。
生理の貧困
プラン・インターナショナルが2021年に15~24 歳の女性2,000人を対象に行った調査によると、「収入が少ない」「生理用品が高額」などの理由によって、生理用品の購入をためらったことがある人が10人に3人もいることがわかりました。
また厚生労働省が2022年にの18 歳から49 歳の女性3,000人を対象にした調査によると、生理用品の入手に苦労したときの対処法として、「生理用品を交換する頻度や回数を減らす(50.0%)」と回答した方が最も多く、次いで「トイレットペーパーやティッシュペーパー等で代用する(43.0%)」が多くなりました。
なお生理用品を交換する頻度や回数を減らしたり、トイレットペーパーやティッシュペーパー等で代用したりした人からは、「かぶれ(73.5%)」や「かゆみ(71.5%)」などの身体的な症状の訴えもありました。
「生理は恥ずかしい」というイメージ
プラン・インターナショナルの調査によると、生理について感じることを尋ねたところ、2人に1人が「生理痛がつらい(48.7%)」と答え、10人に3人が「生理になりたくない・生理を止めたい(30.1%)」と考えていることがわかりました。また10.9%の方が、生理を「恥ずかしい・嫌だ」と感じています。
このように、生理に関して否定的な思いを抱いている若年女性は少なくなく、生理のことを他人に話すのは「恥ずかしい」と考える傾向にあります。
生理によるさまざまな機会の損失
厚生労働省の調査によると、生理用品を購入・入手できないことによって「プライベートのイベント、遊びの予定をあきらめる」方が40.1%、「学業や仕事に集中できない」方が34.1%に上ることがわかりました。
またプラン・インターナショナルの調査では、10人に3人が生理を理由に学校や職場に遅刻したり、早退や欠席をしたりした経験があることが明らかになっています。
このように、経済的な理由や生理に対する意識、生理にまつわる困難な経験などによって、女性が学業や仕事、社会活動への参加をあきらめるケースが生まれてしまっているのです。
女性が自分らしく生きられるようにするには
女性が自分らしく生きられるようにするには、生理に対する社会全体の意識を変える必要があります。ここからは、生理にまつわる問題を解決するための取り組みについてご紹介します。
「生理の貧困」問題に社会で取り組む
「生理の貧困」問題に対しては、国や自治体が主体となって解決に取り組む必要があります。日本では近年、全国の学校で生理用品をトイレに置く取り組みが広がっています。トイレに生理用品を置くことで、先生に申し出ることをためらっていた児童・生徒も気兼ねなく生理用品を手に取ることが可能です。
今後もこのような取り組みが広がり、生理用品を入手できないことによってさまざまな行事や行動をあきらめなくても済むことが期待できます。
積極的な性教育で「生理は恥ずかしくない」と知ってもらう
日本では、学校での性教育が不十分であるために、生理に対する忌避感が子どもたちに浸透していると考えられます。「生理は恥ずかしくない」と知ってもらうためには、性教育をもっと充実させることが必要です。
生理は多くの女性が経験する当たり前のものであり、隠したり恥ずかしがったりする必要はまったくありません。「話しにくい」「恥ずかしい」という意識をなくすためには、男女ともに生理について学ぶ機会を積極的に設けることが大切です。
女性が生理を正しく知って、自分を大切にできる社会に
今回は、生理にまつわる社会的な問題や、女性が自分らしく生きるために知っておくべきことなどについてご紹介しました。生理は多くの女性が経験する当たり前のものですが、「恥ずかしい」と感じている方が多いのも事実です。国際ガールズ・デーをきっかけに、生理への意識を変える1歩を踏み出しましょう。