毎年10月はピンクリボン月間。乳がんを正しく理解し、乳がんの早期発見、早期治療、検診の大切さを啓蒙するため、世界中でさまざまな活動が行われています。乳がんは若い女性でもなる可能性のある病気ですが、早期発見、早期治療が有効といわれています。ピンクリボン月間を機に検診の大切さと乳がんの基礎知識を深め、自分のカラダと向き合いましょう。
ピンクリボン月間とは
今では馴染みのあるピンクリボン月間ですが、ピンクリボン月間とは何か、具体的に何をするのかご存知でしょうか。ここでは、ピンクリボン月間について詳しくご紹介します。
ピンクリボン運動の始まりはアメリカから
乳がんの啓蒙活動のシンボルマークがピンクリボンです。
そして乳がんへの理解を深め、早期発見、早期治療、検診の推進などを目的として行う活動をピンクリボン運動、あるいはピンクリボン活動といいます。
はじまりは、1980年代のアメリカ。乳がんで亡くなった女性の家族が、「このような悲劇が繰り返されることのないように」との願いを込めてピンクのリボンを作ったことからスタートしました。
ピンクリボン月間で行われていること
アメリカで始まったピンクリボン運動ですが、日本では10月を「乳がんへの理解を深める月間」として定め、さまざまなイベントや啓蒙活動が行われています。この期間、東京タワーがピンクにライトアップされているのを見たことがある人もいるかもしれません。また、グローバルのビューティーブランドでは、ピンクリボン月間に合わせてキャンペーンを実施。支援製品の販売し、収益の一部を米国乳がん研究基金(BCRF)やJBCRG(Japan Breast Cancer Research Group)等を通して医療研究に役立てられています。このように、ピンクリボン月間ではさまざまなキャンペーン等を通じて、乳がんの知識を広め、検診やセルフチェックを促す活動や早期発見・早期治療の大切さへの理解を深める活動が重点的に行われています。
乳がんの基礎知識
ピンクリボンについてご紹介したところで、ここからは乳がんについての知識もおさえておきましょう。
日本における乳がん事情
国立がん研究センターが発表しているデータによると、2019年の女性のがん罹患数1位は乳がんでした。発症年代は40代から増えていきますが、30代以下の女性でもかかる人はいます。とくに30代女性のがん罹患率1位は乳がんなので、若いから大丈夫というわけではありませんね。罹患数は年々増えている乳がんですが、死亡数は肺がんや大腸がんの方が上で、2020年の死亡数順位では4位に下がります。つまり、適切に発見、治療をすることで死亡には至らないとされているがんであり、早期発見・早期治療、それを可能にする定期的な検診が大切であることが分かります。
乳がんの症状
乳房には母乳を作る組織である乳腺が張り巡らされていて、その乳腺の組織にできるがんを乳がんといいます。主な症状は、以下の通りです。
・乳房のしこり
・乳房にえくぼやただれができる
・乳頭から分泌物が出る
・左右の乳房の形が非対称になる
乳房の状態が普段と違う場合は医療機関に検査を受けに行きましょう。とくにしこりはセルフチェックで見つかることもあるので、自分でも意識していきたいですね。
乳がんの治療方法
乳がんの治療方法はいくつかあり、手術、放射線治療、そして薬物療法などがあります。基本は手術によってがんを取り切ること、つまり胸を取る手術になります。ですが、女性として胸を取る手術は抵抗があるもの。治療法は、今後のことを考えて主治医としっかり相談しながら決めるのがよいですね。手術後には、胸の再建手術をする人もいます。
乳がんを罹患しても妊娠・出産が可能かどうかが気になる人もいると思います。実際、不妊治療の最中に乳がんが見つかったという人もいます。将来子どもを持つ希望がある人は、妊娠・出産の可能性についても担当医としっかり相談しましょう。30代なかばで乳がん罹患が分かり、手術前に受精卵を冷凍保存し、手術、再建手術、そして数年間の薬物療法を経て、受精卵を移植し妊娠に至ったという例もあります。
早期発見につなげたい!乳がんの検診やセルフチェックについて
早期発見ができれば死亡率は低い乳がん。そのため、できるだけ早期発見につなげていきたいものです。早期発見のきっかけになる手段として乳がん検診やセルフチェックがあります。
ここからは、乳がん検診やセルフチェックについてご紹介します。
乳がん検診の基本情報
乳がん検診は乳腺外科や婦人科をはじめ、検診をするための機械がある医療施設ならばどこでも受けられます。企業で働いていると、会社の健康診断で受けることができる場合もあります。また、厚生労働省の定めにより、40歳以上の女性は2年に一度検診を受けられるように自治体ががん検診を実施しています。
検診方法はいくつかありますが、主に行われるのは超音波検査かマンモグラフィー検査です。マンモグラフィー検査といえば、乳房を挟んで圧迫し、薄く伸ばして撮影するため、痛みが不安という人も多いかもしれません。年齢や乳房の状態によって、どちらの検査方法が適しているのかは異なりますので、医師と相談したうえで検査を受けてみましょう。とにかく大切なのは、定期的な検診を欠かさないことです。痛みを心配するあまり検診を受けず、実はがんが進行していたなんてことのないように、定期的な検診を欠かさないようにしたいですね。ピンクリボン月間は、このように検診を推進する目的もあります。
自分でどうやる?セルフチェック
乳がんは、自分で触れたり見たりすることで発見できる可能性があります。発見とまではいかなくても、セルフチェックを習慣化することで、少しの違和感も見逃さずに済むかもしれません。セルフチェックは胸の張りやすい生理前を避け、生理が始まって1週間後くらいの胸が柔らかくなる頃がベストタイミングです。
まずは、腕を高く上げ、次は腕を腰にあてて乳房の状態をチェック。乳房に引きつれがないか、乳輪に変化はないか、しこりや湿疹がないかなどを確認します。乳房や乳首などを絞って、血液などの分泌液が出ないかどうかも確認しましょう。お風呂では、自分の手で触りながら乳房を洗い、しこりやこぶ状のものがないかを確認します。
普段から乳房の状態を確認していれば、小さな変化に気づきやすくなるのではないでしょうか。毎月1回を目安にセルフチェックを行い、もし違和感を感じた場合はすぐに専門の医療機関を受診しましょう。
乳がんへの理解を深め、乳がん検診を自分ごとに
乳がんという大きな病気ですが、がんという言葉はどちらかというと若い方にはなじみが薄く、20代や30代の女性であれば、「自分がかかるわけない」と思ってしまうかもしれません。しかし、乳がんは若くてもなる可能性のある病気です。そして、早期発見となり、適切な治療を行えば、「治る」がんとも言われています。乳がんは自分には関係ないこととは思わず、定期検診やセルフチェックも習慣化していきたいですね。10月のピンクリボン月間は、乳がんへの理解を深め、全ての女性が乳がん検診を自分ごとに捉える良い機会と言えそうです。