2023/02/19 あらためておさらいしたい大人の性教育【女性のカラダと男性のカラダ】

多様化の時代、ジェンダーレスについて耳にする機会が増えましたが、私たちは生まれ持っての「性別」があります。男女それぞれの違いを知ることは、家族、友達、恋人、パートナー…自分の人生に関わるすべての人たちとより良い関係を築くきっかけになることも。
お互いが思いやりのある行動を取るために、体の仕組みや性別で見る特有の病気について知識として考えてみませんか?

 

女性と男性の成長、どう違う?

生まれてから成人して老いるまで、体と心は歳を重ねます。女性と男性でどのような違いがあるのか、まずは成長段階別にチェックしてみましょう。

 


【幼児期(3〜6歳頃)】

文字の読み書きや体がどんどん成長する時期。男女の違いを理解し、自分の体に興味を持ち始める時期です。

女性:女性ホルモン「エストロゲン」の影響で、男の子より体が小さく、関節が柔らかい傾向があります。言葉を覚えるスピードが早いため、コミュニケーション力が高いのも女の子の特徴です。
男性:個人差はありますが、元気いっぱい駆け回るのが男の子。「すごい」と言われたい気持ちからマニアックな知識欲を見せる子も少なくありません。

【学童期(7〜10歳頃)】

幼児期の特徴を残しながらも言葉を理解し、認識力が高まる時期。大人としっかりコミュニケーションが取れます。

女性:初潮が早い子は10歳前後から。身長や体重は、男の子より2歳ほど早い傾向があります。
男性:発育が旺盛になり、9〜10歳頃から成長速度がぐんぐん伸びます。早い子では9歳頃から精通が起きる子も。

【思春期(11〜18歳頃)】

個人差はありますが、自我や自立心が芽生え、異性を意識するようになる時期。運動能力が増し、身長や体重が増えて体が成長します。体毛が濃くなったり性毛が生えたりするのもこの頃です。

女性:10〜15歳で初潮を迎えますが、卵巣の働きが未熟なため月経痛が起きる子も。女性ホルモンにより胸が膨らみ、丸みのある体へと変化していきます。
男性:男性ホルモンの影響で、骨や筋肉が発達し男らしい体つきになります。ヒゲが生えたり喉ボトケが出てくるのもこの頃。

【成熟期(19〜45歳頃)】

学校生活が終わり、社会人として自立する年齢。結婚して家庭を持つ方、仕事に力を入れる方、人生をパワフルに楽しむ時期です。

女性:月経周期が安定し、妊娠や出産、育児などさまざまな経験を積む時期。過度なダイエットや仕事と家庭の両立など心身に負担がかかるとホルモンバランスを崩してしまうことも。
男性:骨格が形成され、骨や筋肉の栄養状態がピークの時期。気力・体力・精力ともに充実します。生殖活動に最も適した時期でもあります。

【更年期(46〜55歳頃)】

年齢を重ねることでホルモンバランスが変化し、さまざまな更年期障害が出てくる時期です。近年は、女性だけでなく男性も更年期障害の症状が起こることが分かっています。

女性:頭痛やめまい、不眠、イライラ、ほてり、発汗など更年期障害の症状が出やすくなります。
男性:男性ホルモンの低下によって男性も更年期障害が起こります。勃起不全(ED)や関節痛、筋力の低下、疲労感、性欲減退、集中力・記憶力の低下などが起きます。

【老年期(56歳頃)〜)】

老化が進み、視力や聴力、体力など身体機能が低下していく時期。近年は健康寿命に関心が高まり、新しい趣味を始めるなど第二の人生を楽しむ方も増えています。

女性:女性ホルモン「エストロゲン」の分泌がなくなり、更年期障害が落ち着きます。
男性:仕事で定年を迎え、社会的・身体的に喪失を体験する方もいます。

女性が注意したい病気

心と身体がずっと健康でいられる保証は、どこにもありません。とりわけ妊娠・出産と関わりが深いデリケートゾーンは、女性の健康と直結している大切な部分。妊娠・出産はもちろん、流産や不妊症とも関係する生殖器系の病気についてまとめてみました。

 

子宮がん

子宮がんは、子宮体がんと子宮頸がんに分類されます。主な症状の特徴は、月経ではない期間の出血や排尿時の痛み、下腹部の痛み、性行時の痛みなど。ワクチン接種で一部の子宮頸がんは予防が期待できるといわれています。

子宮筋腫

子宮を構成する筋肉組織由来の良性腫瘍。世代問わず見られる疾患ですが、月経痛や月経量の増加、便秘、腰痛といった症状が出ることもあります。

子宮内膜症

子宮内膜と呼ばれる組織が子宮の外で増え、月経に合わせて出血して月経痛や卵巣の腫れを起こす病気。不妊症の原因になる場合もあります。

チョコレート嚢胞

子宮内膜が卵巣に発生する子宮内膜症の一種。不妊症や卵巣がんのリスクが高まる可能性があるとも言われています。

男性が注意したい病気

男性も女性とは異なる生殖器系の病気があります。なかでも、男性ホルモン(テストステロン)の低下はメタボリックシンドロームやアルツハイマー病など、さまざまな病気の原因に関わるとされています。

 

前立腺がん

中高年の男性に多い病気。加齢によるホルモンバランスの変化が影響しているとされています。進行が遅いので、早期発見による適切な治療で完治するケースもあります。

精巣捻転

精巣がねじれることで血流の停止が起こる病気。25歳以下の若い男性が発症するケースが多いとされています。

男性不妊

精子生成能の低下や精子機能の異常、精管の閉塞などが主な原因とされていますが、ストレスやうつ、アルコールといった生活習慣が要因となるケースも。

妊娠・出産に適した年齢

近年の研究では、男性も女性も妊娠・出産に適した年齢があることが分かっています。「子どもはまだいらない」「今は仕事に集中したい」「結婚はもう少し先でいい」と現状を優先させてしまう方もいると思いますが、年齢が上がるほど男女ともにリスクは高まります。自分の生きる道に「子ども」がいてほしいと考えている方は、適齢期を意識してみてくださいね。

 

【女性の適齢期】

個人差はありますが、女性の妊娠・出産適齢期は30歳頃までが目安。卵子の質・量は、出生後から徐々に減少し、思春期には20〜30万個に減少、30歳を過ぎると自然に妊娠する力が徐々に下がり始めます。高齢出産と呼ばれる35歳以上は、さらに妊娠率の低下・妊娠の異常が起きやすくなる傾向も。避妊をしていないのに2年以上経っても妊娠しない場合は、不妊症の可能性も考えられます。

【男性の適齢時期】

女性と同じく個人差はありますが、男性の生殖適齢期は35歳頃までが目安。思春期から老年期まで、精子は毎日約3,000万個を精細菅で作り続けますが、近年の研究では喫煙やストレス、加齢によって精子のDNAが損傷するケースもあるそうです。精子のDNA損傷は生まれてくる子どもの精神疾患や小児がんが増えやすいという報告がある以外にも、自然妊娠や人工授精での妊娠率が低くなる可能性があります。

違いを理解し、尊重する

「わかってほしい」と思っても、なかなか理解できないのが人という存在。性別という大きな壁があるのはもちろん、これまで歩んできた生活環境や人間関係、そして価値観など、さまざまな「違い」がある中で、私たちは友人や恋人、結婚相手を見つけ、関わり合います。
距離が近い人だからこそ、男女の違いを理解し、相手の価値観や生き方を大切にする…。お互いを思いやる気持ちを持った言葉や行動を考えてみることを、意識してはいかがでしょうか。