2023/08/07 わたしの経血の量は正常?最近量が増えてきたかも...と思ったら

経血量は人と比較しにくいため、自分の経血量が正常なのか判断できない方も多いのではないでしょうか。経血量が多いことを「過多月経」と言い、経血量が少ないことを「過少月経」と言います。
今回は、人には聞きにくい経血量について、どのぐらいが正常なのか、多い場合に考えられることや対策についてご紹介します。

 

正常な量って?

経血量はどの程度が正常なのでしょうか。
月経は期間が3−7日、月経中の出血量が20〜140mlが正常と言われています。ただ、経血量を測ることは難しいため、自分で判断は難しいもの。
女性の体は繊細なので月経周期や体調、ストレスなど、さまざまな影響で経血量が変化することがあります。また経血量はホルモンの影響などにより毎月変化します。
しかし、経血量が多い状態や経血量が少ない状態が続く場合は、何かしらの原因があるかもしれません。

 

経血量が少ない場合は過少月経、過短月経が疑われる

過少月経は、経血量が20ml以下の場合を言いますが、実際に量を測るのは難しいため、あくまでも参考程度です。過短月経は、月経期間が2日以内のことを指し、経血量が少ないことも多いです。

経血量が多い場合は過多月経が疑われる

1回の月経で経血量が150ml以上の場合、過多月経と診断されます。ただ、経血量を測定することが難しいため、その他の症状に基づいて診断されることが多いようです。
以下の項目に当てはまった場合は、過多月経が疑われるので、参考にしてみてください。

・ナプキンを1時間以内に交換するほど経血量が多い
・経血にレバー状の塊が混じる
・ふらつき、動悸、めまいなど貧血症状がある
・夜用のナプキンを日中もつけていないと漏れてくる
・年々経血量が増えている

このように日常生活に影響が出るほど経血量が多い場合は、過多月経が疑われます。

大量に出血することで、貧血症状を訴える方も。経血量が多くても毎月繰り返すことで慣れてしまい、貧血症状に気づきにくいケースもあり、受診して初めて分かることもあるでしょう。
経血量がどんどん増えている場合や、急に量が増えた場合は病気の可能もありますので、婦人科の受診を検討してください。

過多月経の原因は?

過多月経の原因にはさまざまなものがありますが、器質的疾患、機能的疾患、内科的疾患の3種類に分かれます。

 

器質的疾患

形や大きさなど、子宮自体にさまざまな異常があることで起こる場合です。具体的には、以下の原因があります。
・子宮筋腫
・子宮腺筋症
・子宮内膜症
・子宮内膜ポリープ


機能的疾患

ホルモンの分泌異常などにより、過多月経が起こっている状態です。


内科的疾患

血液の病気により、血を止める機能に異常を起こして、過多月経につながっている状態です。

過多月経の診断や治療は?

過多月経の治療方法は原因、年齢、妊娠を考えているかどうかなどにより異なりますが、以下の治療方法があります。

 

器質的疾患が原因の場合

・ホルモン療法
・手術


機能的疾患が原因の場合

・ホルモン療法
・IUS(子宮内黄体ホルモン放出システム)


内科的疾患が原因の場合

・内科的疾患の治療を優先

超音波検査(エコー)や血液検査で診断する

過多月経が疑われる場合、原因を特定するために、超音波検査(エコー)や血液検査などが行われます。超音波検査では、子宮や卵巣などに、過多月経の原因となる病気がないかを調べることが可能です。
血液検査で貧血が見つかった場合は、鉄剤が処方されることもあります。原因となる病気があった場合は、病気の治療をすることで、過多月経が改善されることも少なくありません。

ホルモン療法による治療

ホルモンバランスや無排卵、子宮腺筋症などが原因の場合に用いられる治療法です。低用量ピルを用いることもあります。経血量が減らせるだけでなく、服用をやめれば排卵も正常に戻るため、将来妊娠を希望される場合に有力な選択肢となります。
低容量ピルについては、副作用や金銭面の心配があるかもしれません。医師と十分に相談した上で、服用を開始しましょう。
金銭面については、薬によりますが、保険適用がされない場合でも1ヶ月3000円程度とされています。頻繁にナプキンやタンポンを交換することを考えれば、負担はそれほど大きなものではないでしょう。

手術による治療

大きな子宮筋腫がある場合や、子宮内膜にポリープができている場合は、手術になることがあります。すぐに手術するケースもあれば、事前にホルモン剤を使用した上で手術するケースもあり、状態によってさまざまです。
また、子宮筋腫が小さく、無症状の場合は手術の必要はありませんので、まずは早期発見が大切です。

IUS(子宮内黄体ホルモン放出システム)による治療

ミレーナと言われるT字型の器具を子宮内に挿入し、治療をする方法です。
ミレーナから黄体ホルモンが継続的に放出されるため、子宮内膜が厚くなることを抑え、出血量を減らせます。子宮内に器具を入れることになるため、妊娠を希望される場合は使用できません。
1度挿入すると、最長5年間持続しますが、最初の2〜4ヶ月は1〜2回、その後は年1回ミレーナの状態を確認します。
出産経験がなくても使用できますが、痛みが強く出る場合があります。過多月経の治療の場合は、保険適応で治療可能です。

月経困難症との関連

経血量と共に、痛みが気になるという方も多いでしょう。月経に伴いお腹や腰の強い痛みがみられる場合には、月経困難症と診断されることがあります。痛み以外にも、吐き気や頭痛、食欲がなくなる、下痢、気分の落ち込み、めまいなど様々な症状がみられます。
過多月経の原因でもある子宮筋腫や子宮内膜症などは、月経困難症の原因になることも少なくありません。過多月経も、月経困難症もメンタルの不調や仕事のパフォーマンス低下など、日常生活に影響を及ぼします。我慢せずに医師に相談するのがおすすめです。

 

経血量が多いかも?と思ったら婦人科で相談してみよう

月経は毎月あるものですが、経血量や月経に伴う痛み、症状は個人差があります。月経により日常生活に影響が出ている方や、経血量が人よりも多いかもしれないと思ったら、一度婦人科を受診して医師に相談してみましょう。