2024/06/26 幸せホルモン「セロトニン」に期待できる効果は?PMSとの関係や増やし方もご紹介

セロトニンは「幸せホルモン」とも呼ばれ、喜びや嬉しさ、悲しみなど私たちの感情に大きく関わるとされる物質です。実はセロトニンは、PMSにも影響しているといわれています。

今回は、セロトニンのはたらきや、セロトニンとPMSの関係、セロトニンを増やすためのポイントについてご紹介します。前向きで安定した気持ちをキープしたい方は、ぜひ参考にしてみてください。

セロトニンとは

セロトニンとは、必須アミノ酸トリプトファンから生合成される脳内の神経伝達物質のひとつです。セロトニンには喜び、快楽を司るドーパミンや、恐怖、驚きを司るノルアドレナリンといった他の神経伝達物質をコントロールして、気持ちを安定させます。

何らかの原因でセロトニンが低下すると、精神のバランスが崩れて攻撃性が高まったり、不安や抑うつなどが強まったりする恐れがあるといわれています。近年では、セロトニンが低下する原因のひとつとして、女性ホルモンの減少が関係していることが明らかになりました。

セロトニンに期待できる効果

ここからは、セロトニンのはたらきについて、研究事例を交えてご紹介します。

情動との関連

セロトニンと情動との関連の一番身近な例は、抗うつ剤として、セロトニンの代謝に関与する選択的セロトニン再取り込み阻害薬​​(SSRI)が用いられていることです。

また、2007年に発表された論文では、セロトニン分泌系を破壊したラットをマウスと遭遇させると、攻撃性や逃避が見られたとの結果が報告されています。

やる気との関連

セロトニンはやる気にも関連している可能性があります。量子科学技術研究開発機構は、サルの脳内セロトニンレベルを下げると、報酬を期待することによる意欲が低下し、報酬の大小に関わらず行動したくないという反応が増えるとの研究結果を2024年に発表しました。

睡眠との関連

睡眠とセロトニンの関連では、2012年に理化学研究所は、ラットを用いた実験で、セロトニンが不足すると睡眠、覚醒のリズムが乱れるとの研究結果を発表しました。研究チームは睡眠と覚醒のリズムをセロトニンが束ねていると結論づけています。また、セロトニンは、睡眠ホルモンと呼ばれる「メラトニン」を生成する際の材料にもなります。

セロトニンとPMSの関係

生理前になると、女性ホルモンのバランスが変化しますが、ホルモンバランスの変化がセロトニンに影響する可能性が示唆されています。また、PMSの原因の1つとも考えられています。

PMSを少しでも和らげるためには、日頃からセロトニンの分泌を促す生活習慣を続けておくことが役立つかもしれません。

セロトニンを増やすためのポイント

セロトニンの分泌を増やすためには、食生活や運動などの生活習慣を見直すことが大切です。ここからは、セロトニンを増やすためのポイントについてご紹介します。

トリプトファンを食事から摂取する

セロトニンは、必須アミノ酸の「トリプトファン」と呼ばれる物質から合成されます。トリプトファンは、以下のような食べ物に多く含まれているので、積極的に食事に取り入れましょう。

  • 大豆・豆製品
  • 乳製品 など


またトリプトファンからセロトニンを合成するときには、ビタミンB6が必要です。ビタミンB6は、以下のような食べ物に多く含まれています。

  • 小麦胚芽
  • 牛・豚
  • 鶏のレバー
  • マグロや鰹の赤身 など

 

リズム運動をする

ジョギングやウォーキング・サイクリング・ダンスなどのリズム運動には、セロトニンの増加を促進する効果があるとされています。1日10~30分程度、無理のない範囲でリズム運動を取り入れてみましょう。

朝起きたら日光を浴びる

日光を浴びることによって、セロトニンの分泌が促されるといわれています。夜更かしや寝坊などの不規則な生活は、体の不調も生じやすくなるので、セロトニンを意識することも兼ねて、早寝早起きを習慣づけましょう。

よく噛んで朝食を食べる

早寝早起きに加えて、朝食もしっかり摂りましょう。朝食をよく咀嚼することは、先に挙げたリズム運動にもつながります。しっかり朝食を摂ることは、1日の元気の源としても重要です。

セロトニンを増やして心も体も健康に!

今回は、セロトニンのはたらきや、セロトニンとPMSとの関係、セロトニンを増やすためのポイントについてご紹介しました。セロトニンの分泌が増えれば、体にも多くのメリットが期待できます。食生活や運動などの生活習慣を見直して、セロトニンの分泌を増やせるよう心がけましょう。