生理と同じくらい悩んでいる女性が多いのが、おりもの。おりものは、不快に感じてしまいますが、体からの大切なサインです。おりものの状態を見れば、体の周期や体調の変化、隠れているかもしれない病気も分かります。そんなおりものについての基礎知識をおさらいしましょう。
おりものとは
おりものとは、子宮、膣からの分泌物や皮脂腺や汗腺からの分泌液などが混ざり合った粘性の液体です。ニオイやおりものによるかゆみ、下着の汚れなど不快感を感じる人が多いかもしれませんが、体の状態を教えてくれる大切なサインです。
おりものは、月経周期に伴って状態が変化します。自分のおりものの状態を知ることで、排卵やホルモン分泌がされているかなどが分かるようになります。また、年齢によっても分泌量が変化していきます。
おりものがもつ2つの大切な役割
おりものには、主に2つの大切な役割があります。1つは自浄作用です。おりものがあることで、膣内への細菌や病原菌の侵入を防ぎ、女性の体の健康を保つ作用があります。
もう1つは、受精を手助けする働きです。排卵期、おりものが多くなったり透明でねばねばした状態に変化したりします。これは精子が膣を通り子宮内の卵子までスムーズに到達できるようにおりものが手助けをするからです。
おりものの変化と体の周期
おりものは、月経周期と共に量、ニオイ、色などの状態が変化します。そのため、おりものを観察すると体の周期も分かるようになります。もちろん個人差はありますが、おりものは、次の4周期で変化していきます。
卵胞期(生理直後から排卵期手前まで)
一般的に、生理直後はおりものの量も減り、質感もさらっとしています。生理が終わりかけのときには、経血の混ざった茶色いおりものが少し続くこともあります。この後は、排卵期にかけてだんだんおりものの量も増えていきます。
排卵期
受精の準備をしているこの時期は、おりものの量が1番多くなります。また、おりものの色は透明で、卵の白身のようにトロッと糸を引くようなおりものへと変化します。この時期のおりものはあまりニオイが強くないのが一般的です。
黄体期
排卵が終わるとおりものの状態が変化します。量は少なくなり、透明だったおりものは白く濁ったような色に変化します。下着に付着すると黄色っぽく見えたり、おりものが乾くとかゆみを引き起こすことも。
生理前
黄体期後半である生理前には、おりものの量が増えニオイが強くなる傾向があります。色は引き続き白く、そして黄色っぽく濁っています。
年齢によっておりものが変化する
おりものは、年齢によっても変化していきます。月経が始まる頃からおりものの分泌量は増えていき、20代から30代でおりものの分泌量もピークになります。
40代以降、女性ホルモンの分泌低下とともにおりものの分泌量も減少していき、閉経後には分泌されなくなります。
加齢と共に膣が乾いていくのも、このおりものの分泌量が減少していくことに関係があり、だからこそデリケートゾーンケアの保湿が大切だと考えられています。
おりものの悩みに多いニオイや色の原因は?
おりものは、やや酸味のあるニオイがしているのが特徴です。これは女性の膣内にウイルスや病原菌が入り込まないよう、酸性に保たれているのが理由です。
しかし、ニオイが酸っぱいを通り越して悪臭であったり、血が混じった茶色いおりものが続くようであったり、他にも黄緑っぽい色であったりする場合は何かしらの病気が隠れている場合があります。
おりもので分かる病気のサイン
女性であれば、おりものの色の変化やニオイの変化、状態の変化を敏感に感じ取れるのではないでしょうか。おりものの変化に加え、外陰部のかゆみなども伴う場合、それは病気のサインかもしれません。いずれにしても、いつもと違う違和感を感じたら、すぐに婦人科を受診するようにしましょう。
膣カンジダ
膣カンジダとは、膣内のカンジダ菌が増殖し、おりものや外陰部のかゆみなどの症状を引き起こす病気です。おりものは酒粕のようにポロポロした状態になります。
風邪や病気、あるいはストレスなど免疫が下がっているときにかかりやすく、誰でもなる可能性がある病気の1つです。
クラミジア、トリコモナス症、淋菌感染症などの性感染症に罹患すると、おりものの状態が変化します。色が黄緑っぽくなったり、悪臭や外陰部のかゆみを伴うこともあります。
性感染症(クラミジア、トリコモナス症、淋菌感染症など)
クラミジア、トリコモナス症、淋菌感染症などの性感染症に罹患すると、おりものの状態が変化します。色が黄緑っぽくなったり、悪臭や外陰部のかゆみを伴うこともあります。
子宮がん(子宮頸がん、子宮体がん)、子宮ポリープなど
おりものに血が混ざってピンク色や茶色っぽい不正出血が続く場合、子宮の病気を疑います。がんではなくポリープの場合もありますが、どちらにしても生理時以外に出血するのは体の異常のサイン。
まずは婦人科を受診して検査を受けてみましょう。
おりものは体からの大切なサイン!おりものを知って体を知ろう
おりものは今自分の体がどういう状態であるかを知る、体からの大切なサインです。おりものを知ることは、自分の体を知って、自分の体と向き合うこと。毎月のおりものの変化をチェックし、体からのSOSも見逃さないようにしたいですね。
また、ライフステージの変化に伴いおりものや膣環境も変化していきます。清潔に保ち、潤いを与えてあげることでこれからの加齢によるデリケートゾーンの変化にも柔軟に対応していけるかもしれませんね。