2022/09/02 骨盤のゆるみや歪み、腰痛にピラティス!産前産後の体に現れる変化と正しいケアを紹介

女性にとって人生最大級にカラダが変化する妊娠から出産。ホルモンバランスの影響や骨盤のゆるみ、そして腰痛やむくみ、尿漏れといったトラブルが起きるかもしれません。この時に適切に対処できるかで心と体に与える負荷が大きく違うといわれています。産前産後の体に現れる変化を理解し、どのようにケアすればいいのか。zen place エデュケーターとしてピラティスの指導を行うYoko.Mさんにお話を伺いました。

 

妊娠中〜出産後、女性のカラダはどう変化する?

女性は妊娠すると、妊娠週数を追うごとに体の状態がどんどん変わります。それと同時に、ホルモンの影響からメンタル面にもさまざまな症状が現れてくるのも妊娠時の特徴。妊娠〜出産後の心と体は、妊娠前と比べて具体的にどう変わるのか、まずはチェックしてみましょう。

 

妊娠中の変化

妊娠中に感じられる変化は次のようになります。

・子宮とともにおなかが大きくなる
・胸が張って大きくなる
・足のむくみ、こむら返り
・全身の靱帯がゆるむ ・骨盤が広がる
・筋肉が硬くなる
・肩や首、腰が痛くなる
・匂いに敏感になる
・食の好みが変わる
・イライラしやすくなる
・将来に対する不安を感じる

 Yoko.Mさん

「妊娠中は柔軟性が高まる」など、いろいろな情報が拡散されていますが、実際はリラキシンというホルモンの関係で靱帯や骨盤などの関節がゆるくなるために、体が柔らかくなったと感じるようになります。骨盤や人体はゆるくなる一方、筋肉は硬くなりますので、SNSで発信されている動画などを見ながら自己流ストレッチで関節を伸ばすような動きをすると、逆に体の負担になってしまうことも。妊娠中は、知識と技術を持って体を動かすことが大切です。

 

出産〜出産後の変化

出産から産後にかけて感じられる変化は次のようになります。

・骨盤がゆるく広がったまま
・胸のハリがなくなる、サイズが変わる
・皮膚がのびて肌のハリ感が変わる
・腰痛や恥骨痛
・足のむくみ
・筋力の衰え
・尿漏れ
・産後うつ

 Yoko.Mさん


体が妊娠前の状態に戻る目安は、出産から半年後くらい。できればこの期間は過度なストレッチは控え、体に負荷がかからない動きを取り入れるのがおすすめです。医師からドクターストップがない限りは、産後6週間くらい(帝王切開の場合は8週間くらい)から散歩などで少しずつ体を動かし、運動の習慣を入れると健康に良いといわれています。

 

産前産後にピラティスを行うメリット

ピラティスを行う最大のメリットは、脳をフル活用しながら体の動きに意識を向けて「自分の身体を根本から理解する」こと。

身体のどの部分に体重が乗っているのか?今動かしている関節や筋肉はどこか?背骨や骨盤を動かしている感覚が認識できるようになると、どのような動作が産前産後に起きやすい腰や背中の痛みにつながりやすいのか自分で予測できるようになると考えられています。

また、マタニティ要素を取り入れたピラティスは「姿勢の改善」「妊娠中、産後に必要な筋力の強化」「分娩時のマインドや呼吸のコントロール」「体重コントロール」「感情のコントロール」など、安産に必要な心と身体づくりをサポートしてくれます。出産に対する心配や不安を和らげる効果が得られやすいのもマタニティピラティスの強みです。

産前だけでなく、さまざまな不調が出やすい出産後の体に対しても、ピラティスで学んだ正しい体の動きを脳に記憶することで、どのような動きを入れたら体がラクになるのか自分で判断できるようになります。その結果「自分の体を守る」ことにつながり、産後も回復しやすい体づくりが期待できるというわけです。

 

 Yoko.Mさん

産前産後のピラティスは心の安心にもつながりますので、自分の身体にプラスになる動きはどんどん取り入れて正解。普段あまり運動されていない方がピラティスを始める場合は安定期に入ってからがおすすめですが、ピラティス経験者なら妊娠初期から体にやさしいマタニティピラティスを始められます。妊娠中の胎児の状態によって医師から許可が出ない場合はもちろんNG。自分自身が後悔しないためにも、赤ちゃんの状態が安定するまで安静にして、医師からの承諾を得られたタイミングでマタニティピラティスを取り入れてみてくださいね。

 

産前産後は骨盤底筋トレーニングでボディケア!

さまざまな動きを取り入れるマタニティピラティスですが、産前産後におけるボディメイクのポイントは、おなかの中の胎児を支えてくれる骨盤底筋のケア。とくに産後は骨盤のゆるみから尿漏れに悩む方が多く、骨盤底筋を日頃からトレーニングすることで膣まわりをコントロールできるようになります。

 

 Yoko.Mさん


骨盤底筋のケアとは、いわゆる「膣トレ」。マタニティピラティスでも骨盤底筋に働きかける体の動きを取り入れてレッスンを行なっています。尿漏れ対策はもちろん、ぽっこりおなかの解消や生理痛の軽減、不妊予防などの効果が期待できますので、妊婦でない方にも骨盤底筋のケアはおすすめです。

 

妊娠中〜産後におすすめのマタニティピラティス

妊娠中と出産後、すきま時間を使ってかんたんに実践できるおすすめマタニティピラティスをzen placeエデュケーターのYoko.Mさんに教えていただきました。身体の動きを脳に記憶することをイメージしながら実践してみてくださいね。

 

【妊娠中】おなかを支える筋肉を強化するエクササイズ

妊娠中に大きくなるおなかが落ちないよう、しっかり支えるための腹横筋と腹斜筋を強化する「ベリー・ブリージング(Belly Breathing)」と呼ばれる妊娠中におすすめのピラティスです。

1.肩の下に「手首」、股関節の下に「膝」がくるよう四つん這いになります

2.鼻から息を吸って、妊娠8ヶ月のおなかをイメージして膨らませます

3.口から息を吐きながら、妊娠1ヶ月をイメージしたおなかにします

※呼吸をするときは腰が反ったり丸まったりせず、真っ直ぐな状態を維持するのがポイント。妊娠8ヶ月以上の方は、おなかを膨らませたときに息を吸いながら今よりもう少し大きなおなかをイメージしながら膨らませ、息を吐きながら赤ちゃんを包み込むようにおなかを薄くしていきます。

【出産後】骨盤の歪み・バランスを整えるエクササイズ

体の状態が安定していれば、出産直後からベッドの上で実践できる産後ピラティスなら「ペルビック・ティルトPelvic Tilt)」。骨盤をなめらかに動かすことで、歪みのバランスを整えていきます。

1.仰向けからスタート。
両足の間をこぶし1つ分に空けた状態で膝を立て、手のひらを下に向けて腕を両脇に置きます。骨盤はニュートラルポジション(前傾・後傾でない状態)をキープして、鼻から息を吸います。

2.口から息を吐きながら、骨盤を後傾します。膣や肛門をしめて、おなかを後ろにひきこむ意識でやってみましょう。

3.鼻から息を吸いながら、1に戻します。膣や肛門、おなかを緩める意識で行うのがポイントです。

妊娠から出産という大仕事を経て、いろいろな意味で成長する女性の心と身体。今回ご紹介したピラティスは、脳を使って自分の体を理解しながら体を動かしていきますので、予想外のトラブルが起きやすい妊婦さんの心強い味方となってくれます。

心が安定した状態で産前産後を過ごされたいと考えている方、ぜひ参考にしてくださいね。

担当エデュケーター:Yoko.M

18歳で音楽を学ぶため、CanadaのTorontoに単身渡り、現地のゴスペルクワイヤー(Univercity of Toronto Gospel Choir)に参加。Torontoで活動しながらNYに渡米し、現地のボイストレーナーから学び、黒人Gospelチームでも活動。多数のオーディションやオープンマイク、路上などでもパフォーマンスを行う。

帰国後、本格的にヨガの哲学を学ぶため、全米ヨガアライアンスRYT500を取得。フリーランスでYogaの指導と音楽を両立するも、音楽に従事する人の多くが不健康な状態にあることに疑問を持ち、どうすれば健康に音楽を続けられるのかを考え始め、もっと身体について知りたいと思った時にPilatesと出会い、basi(現 ZEN PLACE)に入社。

2020年に出産し、一児の母となる。妊娠・出産を経験する中で女性特有の身体の変化について興味を持ち、現在では産前産後、妊活中の方への指導を積極的に行い、人生のあらゆる変化に対応していけるような心と身体を目指し、日々学びを深めている。現在、第二子を妊娠中。

zen place pilates 恵比寿