「生理前になると、気分が悪くなる…」「生理前のイライラを和らげるにはどうしたらいいの?」とお悩みの方は多いのではないでしょうか。生理前に心の不調が著しく表れる場合は、「PMDD(月経前不快気分障害)」の可能性があります。
今回の記事では、PMDDの原因やセルフチェック方法、治療法などについてご紹介します。PMDDの症状にお悩みの方は、ぜひ参考にしてみてください。
PMDDとは?
生理前の約3~10日前から始まる身体や心のさまざまな不調は、「PMS(Premenstrual Syndrome:月経前症候群)」と呼ばれます。日本産科婦人科学会によれば、日本では生理のある女性の約70~80%が生理前に何らかの症状があるといわれています。
「PMDD(Premenstrual Dysphoric Disorder:月経前不快気分障害)」はPMSのうち、とくに精神面での不調が顕著な状態のことです。PMDDはもともとPMSとして診断されてきましたが、1994年にPMDDとして新しい診断名がつきました。PMDDは月経がある女性の1.8~5.8%が該当するとされています。
PMDDの原因
PMDDの原因ははっきりわかっていませんが、女性ホルモンと深く関わっているといわれています。排卵を伴う生理周期によって女性ホルモンのバランスが乱れ、その他の環境因子や内分泌因子などが絡み合い、PMDDが引き起こされると考えられているのです。
PMDDを発症する引き金としては、以下のようなものが挙げられます。
・飲酒
・喫煙
・肥満
・精神疾患の既往(うつ病、不安神経症、パニック障害など)
うつ病などの精神疾患を患っている女性のなかには、生理前になると精神症状が重くなるケースがあります。これはPMDDではなく「PME(Premenstrual Exacerbation:月経前増悪)」と呼ばれます。PMEが疑われる場合は、早急に精神科を受診して治療を受けることが大切です
PMDDのセルフチェックリスト
PMDDの診断を行う際は、一般的に以下のようなチェックリストが用いられます。
<症状リストA(生理前1週間)>
- 突然泣きたくなったり、悲しくなったりする。批判や拒絶に対する感受性が高くなる
- イライラしたり、怒りっぽくなったりする
- 落ち込みやうつ気分がひどい
- 緊張感や不安、高ぶりやいらだちなどの感情がある
<症状リストB(生理前1週間)>
- 日常生活や趣味への興味が薄れている
- 物事に対する集中力が低下している
- 通常より疲れており、気力がわかない
- 食欲の著しい変化がある(過食や、特定の食べ物だけを多量に食べるなど)
- 睡眠不足または睡眠過多である
- 圧倒される、自分自身をコントロールできなくなる
- 月経前に乳房痛、筋肉痛、関節痛、体重増加、腹部膨満感などの身体症状がある
上記の症状リストを踏まえ、以下の項目をチェックしてみてください。
- 症状リストAに1つ以上当てはまり、症状リストBを合わせて5つ以上の該当がある
- これらの症状によって日常生活や対人関係に支障が出ている
- 症状はほぼ毎月の生理前に表れ、生理が始まると良くなり、生理後はほとんど症状が出なくなる
- ・これらの症状が1年以上続いており、受診から2ヶ月間も同様の症状が続く
上記4つの項目に当てはまる場合は、PMDDと診断される可能性があります。
PMDDの治療法・生活の改善策
PMDDは、病院で適切な治療を受けることが重要です。また、普段の生活を見直していきましょう。ここからは、PMDDの治療法や生活習慣改善策についてご紹介します。
薬物療法
薬物療法では、以下のような薬が適宜使用されます。
生活習慣を改善する
PMDDはストレスが引き金になるケースがあるので、ストレスを和らげるような生活を送ることも大切です。睡眠を十分にとり、気分転換の時間を確保しましょう。また適度な運動によって、気分をリフレッシュさせるのもおすすめです。
イライラや不安を抑えるセロトニンの分泌を促すため、食生活に気をつけるのも大切です。セロトニンは必須アミノ酸のトリプトファンから作られるので、トリプトファンを豊富に含む魚や肉、乳製品や大豆製品を積極的に摂りましょう。
PMDDの治療や生活習慣の改善で、生理前も前向きに!
今回は、PMDDの原因やセルフチェック方法、治療法などについてご紹介しました。PMDDはPMSのなかでも精神の症状が重い状態のことで、生理前にイライラや不安、落ち込みが強くなるのが特徴です。生理前の症状がつらいときは1人で抱え込んだり我慢したりせず、病院で適切な治療を受けましょう。