2023/12/15 大人世代のピルとの付き合い方は?注意点や何歳まで使えるかご紹介

ピルとは、女性ホルモンである卵胞ホルモンと黄体ホルモンが入った薬のこと。ピルを飲めば女性ホルモンのバランスをコントロールできます。女性ならではの不調改善に役立つピルですが、大人世代が使用する際は注意が必要です。

今回は、大人世代ならではのピルとの付き合い方や注意点、ピルをやめた後の代替法などについてご紹介します。ピルを使用されている大人世代の方は、ぜひ参考にしてみてください。

 

ピルは何歳まで使える?

ピルは、生理が始まってから閉経近くまで服用できる薬です。ただし医師によっては、40歳を超えるとピルの服用を中止するように指示されることもあります。なぜなら、年齢を重ねるにつれて、ピルの副作用である血栓症のリスクが高くなるからです。

血栓症とは、血管の中に血の塊(血栓)が生じることによって血液の流れが妨げられ、さまざまな臓器に悪影響を及ぼすことです。また、ピルの服用有無にかかわらず、年齢を重ねると血栓症にかかりやすくなるといわれています。

また40歳以下であっても、喫煙や持病などの条件によってはピルの服用中止を検討する必要があります。ピルをやめる年齢の目安は、以下の通りです。
 

なお50歳を超えている場合は、閉経していなくても血栓症のリスクが高くなるので、ピルの使用をやめるのが無難です。

 

大人世代がピルを使用するメリット・デメリット

40歳以降の大人世代がピルを使用する際には、メリットだけでなくデメリットもしっかり理解する必要があります。ここからは、大人世代がピルを使用するメリット・デメリットについてご紹介します。

 

メリット

大人世代がピルを使用するメリットとしては、以下のようなものが挙げられます。

⚫︎ 骨粗鬆症の予防
⚫︎ 生理不順の整調、月経困難症に有効
⚫︎ 子宮内膜症の治療効果
⚫︎ 卵巣がん、子宮体がんの発症リスク軽減
⚫︎ 更年期障害の軽減
⚫︎ 大腸がんの発症リスク軽減 など

上記の中でも多くの大人世代に関係する症状が、更年期障害です。更年期には、女性ホルモンの低下によってイライラや動悸、ほてりなどの症状が現れます。ピルには女性ホルモンが含まれているので、症状を和らげることは期待できるものの、ホルモンの量が少ないため、更年期障害の治療にはなりません。

デメリット

大人世代がピルを使用するメリットがある一方で、以下のようなデメリットもあります。

⚫︎ 静脈血栓症
⚫︎ 脳卒中、脳閉塞
⚫︎ 心筋梗塞
⚫︎ 乳がん
⚫︎ 悪性黒色腫
⚫︎ 浸潤性子宮頸がん など

一般的に40歳を超えると血管系の疾患を引き起こすリスクが高くなります。ピルを使用することで、これらのリスクがさらに高くなる可能性があるのです。

大人世代がピルを使う際の注意点

大人世代がピルを飲んでいる場合、閉経していても休薬期間(ピルの種類によってはプラセボの使用期間)に消退出血が起こるので、閉経したのかどうかを判断できません。そのため、45~50歳の間にピルの使用を一度やめて、血液検査を受けて閉経しているかをチェックする必要があります。

検査によって閉経が確定すれば、その時点でピルの使用をやめましょう。まだ閉経していない場合は、体調や年齢を考慮し、医師とよく相談しながらピルの使用を続けるかどうかを検討してください。

 

ピルの服用をやめた後の代替法

年齢が理由でピルをやめた場合、「PMSの対策や避妊対策をどうしたらいいの?」と不安になってしまう方は少なくありません。ここからは、ピルをやめた後の代替法についてご紹介します。

 

治療目的の場合

月経困難症や月経前症候群(PMS)、子宮内膜症、過多月経などの治療を目的としてピルを飲んでいた場合は、代替法として以下のような選択肢が考えられます。

⚫︎ 手術療法
⚫︎ 薬物療法(偽閉経療法など)
⚫︎ 子宮内避妊システム(IUS) など

子宮内避妊システム(IUS)とは、ピルの成分でもある黄体ホルモンを放出する器具を子宮内に入れる方法です。

避妊目的の場合

閉経前にピルをやめる場合は、まだ妊娠の可能性があるので、ピル以外の方法で避妊をする必要があります。ピル以外の避妊方法としては、以下のようなものがあります。

⚫︎ コンドーム
⚫︎ 子宮内避妊リング(IUD) など

子宮内避妊リング(IUD)とは、子宮の中に小さな器具を挿入することで、子宮内への受精卵の着床を防ぐアイテムです。ピルで危惧されるような血栓症のリスクがなく、高血圧や喫煙中の方でも使用できます。

大人世代はピルとの上手な付き合い方を見直そう

今回は、大人世代ならではのピルとの付き合い方や注意点、ピルをやめた後の代替法などについてご紹介しました。40歳以上の大人世代は、健康上のリスクを踏まえてピルとの付き合い方を慎重に見直す時期。ピルの使用を中止する際は、自分に合った代替策も検討していきましょう。