生理の経血量が少ないと感じたことはありませんか?
経血の量が少なければ、生理中の負担が減ると、軽くとらえてしまう方もいらっしゃるかもしれません。ですが、基準値より経血の量が少ない「過少月経」の場合、何らかの病気が潜んでいることもあるのです。
今回は、過少月経と判断する基準や、考えられる原因や病気、婦人科を受診する基準などについてお伝えしていきます。「私の経血量は少ない?」「期間が人より短い気がする」などと気になっている方は、ぜひ本記事を参考にしてください。
正常な生理の基準
正常な月経は出血量が20~140ml、日数は3~7日とされています。1周期あたりの総出血量が20ml以下の場合を「過少月経」、月経が2日以内の短期間で終わってしまう場合を「過短月経」といいます。
実際は、月経には個人差があり、経血の量を正確に計測するのは難しいため、判断に迷う場合もあるでしょう。目安として、生理2日目でもナプキンの交換が不要な程度の量であったり、生理が2日以内に終わってしまったりする場合には、過少月経や過短月経に当てはまる可能性があります。
過少月経の原因や考えられる病気
過少月経の原因は主に、ホルモンバランスの乱れ、ホルモン分泌の異常、卵巣の病気、子宮の病気となります。また、過少月経と過短月経は併発しやすい症状であり、同様の原因で起こります。
ホルモンバランスの乱れ
ホルモンバランスが乱れることが過少月経の原因の1つです。
女性ホルモンには、子宮内膜を厚くするエストロゲンと子宮内膜を剥がす役割をもつプロゲステロンの2種があり、不要になった子宮内膜が剥がれて血液とともに流れていくのが生理です。女性ホルモンの分泌量が減るとその作用も減り、経血量が少なくなります。
精神的なストレスや過度なダイエットでホルモンバランスの乱れが起こることも多く、生活習慣の改善で症状がよくなることもあります。また、気づかないうちに無排卵月経になっている場合もありますので注意してください。放置していると、不妊の原因になります。
ホルモン分泌の異常を起こす病気
女性ホルモンは、脳からの指令を受けて卵巣から分泌されます。下垂体腫瘍のような脳の病気があると、正常にホルモンが分泌されなくなります。
卵巣の病気
多嚢胞性卵巣症候群という排卵障害が起こる病気や、エストロゲンとプロゲステロンの分泌量が不十分になる黄体機能不全により、月経に異常が起こります。
子宮の病気
ホルモン分泌は正常であっても、子宮の病気により月経に異常をきたすことがあります。
子宮の大きさが通常よりも小さい等の子宮発育不全や、子宮内膜が炎症を起こし、内膜の組織同士がくっついてしまう子宮内膜癒着などが原因になることがあります。子宮内膜癒着は、アッシャーマン症候群とも呼ばれています。
これらの病気以外に、初経から間もない時期はホルモンバランスが安定しないため、経血の量が少ないこともあります。また、30代後半から40代に近づくに連れて、閉経に向けて女性ホルモンの分泌が減り、それに伴い月経量が減るこがあります。
セルフケアでできること
ホルモンバランスを整え、正常な月経を保つためにセルフケアで出来ることがあります。
良質な睡眠時間の確保
良質な睡眠は、自律神経を整えホルモンバランスを安定させます。
充分な睡眠時間を確保し、入浴は寝る2~3時間前に済ませる、寝る直前はスマホなどのブルーライトを見ないなどの工夫をし、睡眠の質をあげましょう。
食生活の改善
偏った食事や過度なダイエットは、ホルモンバランスの乱れを引き起こす原因のひとつです。豆腐や納豆などイソフラボンを含む食品は、女性ホルモンと似た働きをすると言われています。積極的に摂取するとよいでしょう。その他、鉄分やたんぱく質、ビタミンやミネラルなどもバランスよくとるようにしてください。
適度な運動習慣
運動不足は、自律神経の乱れを起こし、ホルモンバランスに悪影響をおよぼすことがあります。ウォーキングやストレッチ、ヨガなど、身体に負担が少ない運動をする習慣を取り入れましょう。激しすぎる運動は、逆にホルモンバランスを乱す可能性もありますので、気をつけてください。
婦人科を受診する目安と治療法
ホルモンバランスは、月によっても変動しますので、経血の量も付随して変動することがあります。経血の量が少ないとしても、一過性のものであれば、様子を見ても問題ないでしょう。ただし、次のような症状があった場合には、婦人科の受診をおすすめします。
婦人科受診の目安
・これまでの月経と比べて、経血の量が減った
・成人になっても、過少月経や過短月経が改善しない
・経血が少ないうえに下腹部に痛みがある
・経血の少ない状態が何カ月も続く
これらの症状があったら、婦人科を受診しましょう。
検査方法と治療法
婦人科では、血液検査や超音波検査を行い、ホルモンの分泌量や、卵巣、子宮に異常がないかチェックします。原因や病気に応じて、ホルモンを補充する治療や子宮の手術を行います。
日頃から基礎体温をつけておき、その記録も持参するとよいでしょう。基礎体温は、排卵が起きているか等の判断基準にもなります。排卵が起きていない場合には、排卵誘発剤を使った治療も行います。
経血の量が少ないのも要注意
今回は、経血の量が少ない原因と考えられるトラブルについてお伝えしました。
ナプキンの交換が要らないほど、極端に経血の量が少ない場合は過少月経、2日以下で終わってしまう月経は過短月経といいます。ストレスやホルモンバランスの乱れが原因であることも多いですが、卵巣や子宮の病気の可能性もあります。経血が少ない月経が続くようであれば、婦人科を受診しましょう。また、日頃から睡眠や食事、運動習慣などを整えることも大切です。
心身にストレスがかかりすぎない生活を心がけましょう。